ハフポスト・細谷教授「”両方悪い”は不適切」の不適切

ハフィントン・ポストが持ち上げた
細谷雄一教授の
<「ロシアもウクライナも両方悪い」は不適切>
に割り切れない思いがしている

開戦時の合法・非合法だけを問題として
一方を100%善、もう一方を100悪とし
それでその戦争の全てを裁きかねない
からである

これが通れば
日本が真珠湾に奇襲をかけて始まった太平洋戦争
<悪>は日本であり
アメリカの無差別攻撃の空襲も
広島長崎への原爆投下も
<善>
ということになってしまう

開戦の合法(自衛)・非合法(侵略)のみで
以後片方のやることがすべて善
もう片方のやることがすべて悪
と断じるのは間違いだ
しかし細谷氏とそれを持ち上げるハフィントンポストは
結果的にそうしてしまっている
少なくとも世の反応で見る限り

今やるべきは戦争に反対すること
戦争を止めること
そこを後押しすること

片方が100%善で、もう片方が100%悪
というのは、戦争ではありえない
というのはーー

戦ううちに捕虜への虐待とか
(捕虜の処遇に関する国際法違反)
非戦闘員や非軍事標的への攻撃や
(国際人道法「区別原則」違反)
禁じられてい過度の苦痛を与える兵器の使用や
(国際人道法「比例原則」違反)
傭兵の使用(傭兵禁止条約違反)や
国際法違反は程度の差こそあっても
(いまのウクライナ戦争では圧倒的にロシア側に多いようだが)
一般的に戦争ではどちら側にも起き得ることである
たとえ一方の侵略(悪)と
もう片方の自衛(善)で始まっても

それが
「戦争に片方が100%善、片方が100%悪はない」
の意味するところ
だから一般論として
「戦争に “片方がすべて善、片方がすべて悪” はない」
と言いたいのだ

上に書き並べたとおり国際法上からもそうだ

しかるに
細谷教授の「論考」ならびにハフポストのその応援記事は
それを「どっちもどっち論」などと矮小化したものに
不当にひっくるめてしまう

私なぞ
「ロシアの侵略も悪いが
 ウクライナの自衛も悪い」
などとはどこにも言っていない

ところが細谷先生の「論考」は
私のようなものの反戦論、非戦論までもが
まるでそう言っているかのようにしてしまい
危険である
不適切である


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要は
いかに戦争を早期に終わらせるか
である

しかし
ウクライナ支援一辺倒に傾斜していく
今の日本の空気
そこに私は非常に危ういものを感じる

細谷「論考」や
それを持ち上げる新聞記事も
その空気を煽ってしまっている
意図するしないに関わらず
結果として

ウクライナ側の問題に少しでも触れようものなら
おまえはウクライナにケチをつけようというのか!
おまえはロシアびいきか!
プーチン礼賛者か!
といった目で見られる今の日本

保守派、自民支持者らからだけではない
リベラル派からもだ
今はロシア軍のおぞましい虐殺行為が伝えられる中だけに
特にそうだ

その先に待っているものは、、

なぜ細谷氏もハフポスト記事も
両方危険か

↓ ↓ ↓ ↓ ↓

細谷雄教授はツイッターで
「なぜ「ロシアもウクライナも両方悪い」
 という議論が適切ではないのか」
と始まる連続発信
ハフィントンポストはその一連のツイートを

「2万件を超える「いいね」が付いている」
「「WEBで読める決定版と言える論考」と反響」

と紹介した
https://www.huffingtonpost.jp/entry/ukraine-russia_jp_6243c3fae4b0e44de9bab752

この先生の
国際法ではこうなんだという「論考」は
戦争が始まる時に関するルール
開戦の局面にかぎってのもの
しかし戦争はそこで終わりではない

しかしそれですべてを裁く論調だから
不適切なのだ

確かに一国が他国に
一方的に攻め入って戦争を始め
もう一方が自国を守るために応戦したら
侵略とそれに対する自衛であり
一方は100%悪で
もう一方は100%善
それはそうだ
しかしそれはあくまでそこまでなのだ

しかしそれでその戦争に関して疑問を呈する者を
黙らせてしまう結果になりつつあるように思う
少しでも戦争に反対することを
黙らせてしまうのだ

「情緒的に論じてはいけない」と細谷教授だが
この記事の伝え方は多分に情緒的
2万人が「いいね」「決定版」と
いかにも < 勝負あった > の印象を刷り込む
空気を読むのが専らのこの国民の多くは
2万人が「いいね」を押したのかー
学者先生の「決定版」論考かー
と同調させられてしまう

ゼレンスキーの国会向け演説に
「命を顧みず祖国を守る勇気に感動」と
山東昭子・参議院議長であったが
同じ空気がかもし出されている
その情緒につながる何かが
ここに見え隠れしている



政治家が煽り
学者が煽り
新聞が煽り

ウクライナ支援一辺倒に傾斜していく
今の日本のこの空気
そこに、そしてその先に、
私は非常に危ういものを感じる

ウクライナ側の問題点や疑惑に少しでも触れようものなら
おまえはウクライナにケチをつけようというのか!
おまえはロシアびいきか!
プーチン礼賛者か!
陰謀論者か
と言った目で見られる

保守派、自民支持者らからだけではない
リベラル派からもだ
特に今はロシア軍の
おぞましい虐殺行為が伝えられる中だけに

実際私自身「親ロシア」
のレッテルを貼られたような気がしてならない
中には
あいつは誰それの投稿に「いいね」した
あいつはもうだめだ FB友をやめるよ
などと囁き合っている人たちもいて
薄気味悪い
まるで戦時中の隣組や
東ドイツのスタージじゃないか
国民が互いを監視・密告し合って

日本全体がウクライナ支援に染め上がるのに
そんな危うさを感じてしまうのだ

同郷で敬愛する入口先生の投稿:

ロシアのプロパガンダを広めることに躍起
という人たちもいるだろう
細谷教授の言う
プロの工作員まがいの人たちもいるのかもしれない

しかし私はそうではない
しかし細谷「論考」のおかげで
そんな私までも親ロシア派と
ひとくくりにされてしまう

私はウクライナ支持一辺倒は危うい選択
ということは書いても
ロシア軍の侵攻が侵略ではないなどとは
どこにも書いていない
プーチンの擁護もしていない
ウクライナは自衛ではないなどとも
自衛してはならないとも書いてない
NATOの東方拡大が原因とも言っていない
(背景にはあるが)
オリバー・ストーンの陰謀論に加担しているわけでもない

しかし

ウクライナを全面的に支持しないというだけで
あるいは「鬼畜プーチン!」を叫ばぬゆえに
冷ややかな目で見られ始める
この薄気味の悪さ

SNS投稿の返信欄には
関係のないこと意味不明のことを
長々と書き込まれたり
嘲りや嫌がらせ
果てはポルノまで貼り付けられた
そのような空気づくりに
ハフィントンポストの記事
細谷氏のツイートは寄与するものだ

ではこの空気は何を準備する

こうして
平和を叫ぶ声
戦争反対を叫ぶ声が押しつぶされ
次は中国が脅威だ
中国が次のロシアで
日本が次のウクライナだと煽られ
さあ日米軍事一体化だ
沖縄を始め南西諸島の軍事化をさらに進めるのだ
となり
さあ今こそ憲法改正だ
核兵器をアメリカと「共有」するのだと

(実際安倍晋三らが今かまびすしい)

それにまた脅威を感じる中国
さらに軍事活動を活発化させ、、

そら見ろ中国は怖い、、

こうして日本国民は手もなく
憲法改正に賛成してしまうだろう

互いに安全たらんとして
互いに軍備を増強し
互いにより危険になってゆく
これまさに古今東西おなじみの
戦争に突き進む「安全保障のジレンマ」

今こそこの空気に気づかなければならない
平和を求める声を上げなくてはならない
戦争に反対しなくてはならない

「決定版」「2万人の反響」などと言って
戦争に反対する機運が抑えられ
行き着く先は改憲や核共有そして戦争
とだけはなってはならない


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「ロシアもウクライナも両方悪い」は不適切。
細谷雄一教授の連続ツイートが
「WEBで読める決定版と言える論考」と反響

と朝日新聞と記事提携をしている
ハフィントン・ポスト
https://www.huffingtonpost.jp/entry/ukraine-russia_jp_6243c3fae4b0e44de9bab752 

「ウクライナ侵攻に関して
「戦争はどちらも悪い」とする主張の問題点を
国際政治学者が指摘。
2万件を超える「いいね」が付いています」

「ウクライナ侵攻に関して「ロシアもウクライナも両方悪い」とする
国内の一部の人の主張は「不適切」。
国際政治学者の細谷雄一教授が3月26日、
連続ツイートで指摘したことがSNS上で大きな注目を集めている」

「30日現在、最初の投稿だけで2万件を超える「いいね」が集まったほか、
「極めて明快」「理路整然として分かりやすい解説」
「WEBで読める決定版と言える論考」と反響が広がっている。」

「ウクライナ侵攻をめぐっては、
日本の政治家や知識人の一部から「戦争はどちらも悪い」などとして
侵攻したロシアだけでなく、侵攻されたウクライナの側にも問題がある
と指摘する声が一部で出ている」

それに対して細谷教授:

なぜ「ロシアもウクライナも両方悪い」という議論が適切ではないのか。それは国際社会にもルールや規範があるから。ロシアの行動は、国連憲章2条4項の国際紛争解決のための武力行使を禁ずる国際法違反。ウクライナの行動は、同51条の個別的自衛権行使に基づくもの。国連総会も日本政府も、それに賛同。

— Yuichi Hosoya 細谷雄一 (@Yuichi_Hosoya) March 26, 2022

あらゆる戦争が悪であると述べることは、正しいようでありながらも、20世紀の国際法と国際的規範の歩みを全否定すること。道徳的な高みになって、「あらゆる戦争は悪であってどちらが正しいというわけではない」と論じることは、20世紀の平和への努力を蹂躙すること。

— Yuichi Hosoya 細谷雄一 (@Yuichi_Hosoya) March 26, 2022

国際法を無視した侵略的な武力攻撃、さらには無差別な一般市民の殺戮は悪であるが、そのような侵略から国民の生命を守るために自衛的措置をとる行動は、合法であり正当な行動であるということを理解してほしい。だからウクライナの行動が国際的に支持され、国際社会から支援されている。

— Yuichi Hosoya 細谷雄一 (@Yuichi_Hosoya) March 26, 2022

これらの前提を知らずしてか、無視してか、「ロシアもウクライナも、戦争をしているのはどちらも悪いのであって、片方を支持するべきではない」というのは、国際的には全く共感されず、単なる国際法の無知とされてしまう。

— Yuichi Hosoya 細谷雄一 (@Yuichi_Hosoya) March 26, 2022

これらの投稿
正しいようで必ずしもそうでないことは
上で指摘したとおり
m(_ _)m

ロシアは現在ウクライナで残酷で不要な殺戮をしております。過去にアメリカはベトナムやイラクで不毛に人命を奪う行いをし、日本も第二次世界大戦時に同様の行いをしました。無抵抗な市民の生命を奪う行為はなくなってほしい。どの国を擁護して、どの国を批判するということではなく。それだけ。

— Yuichi Hosoya 細谷雄一 (@Yuichi_Hosoya) April 3, 2022



私も全くその通りなのだが
何かとても割り切れないものを感じている

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このままだと今の日本の空気は
これにつながる
それを私は懸念しているのだ:

『7割が議論認めて前のめり核共有は破滅への道』 
https://noraneko-kambei.blog.ss-blog.jp/2022-03-30


こうして国民は手もなく
いま安倍晋三らが叫んでいることに
同調させられてしまうことだろう

「アメリカと核を共有せよ」
「防衛費を増やせ」
「6兆円だ」「 GDP比2%だ」
「打撃力を持て」
「基地攻撃に限ることはない」
「今こそ憲法改正を」

これは破滅の道である
きょうのロシアは
あすの日本だ

 

最後までお読みくださりありがとうございました。
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旧ブログの関連記事はこちらのタグから:
https://noraneko-kambei.blog.ss-blog.jp/2022-04-04