ガザの封鎖を解いて下さい(2)

ラジ・スラーニ講演 東京四谷にて 20141017

質疑応答

質問:

パレスチナの弁護士資格や団体について、今後の見通し、日本とイスラエルの包括的パートナーシップ協定について、日本人にできること、…

答え:

(希望の持てる新しい動き):

…非常に醜悪な状況、これまで類を見ない戦争となっていますが、今回最も素晴らしいのは、世界中でデモが起きたことです。ニューヨークで、東京で、ストックホルムで、南アフリカで、マドリードで、ウイーンで、ダブリンで、ローマで、デモがありました。これまでになかったことです。パレスチナと連帯をというデモ、イスラエルに反対というデモです。

新しい時代を迎えたと思います。2つのレベルでそうです。まず、メディアがもはや主要メディアに独占されていないということ。ソーシャル・ネットワークが新しい地平を切り開いたのです。アメリカの大学でもデモが起きました。パレスチナと連帯しようという、新しいデモです。世論調査によるとアメリカの20歳から32歳の間の人の45%あまりがパレスチナ人を支持すると答えています。これは初めてのことです。何かが変わりつつあります。ハイテクやソーシャルメディアによって人が効果的につながることが出来るようになっているのです。ガザの19歳のブロガーのサイトには世界中からなんと800万件のアクセスがありました。

もう一つは、人々の行動です。世界的にBDS(排斥・投資撤収・制裁=イスラエルをボイコットし、イスラエルから投資を撤収し、イスラエルに制裁をという運動)が広まっているということです。老いも若きも、学生も活動家も参加して、その数がどんどん増えています。カナダでも、オーストラリアでも、ラテン・アメリカでもそうです。すばらしいことです。

(不思議な歴史 被害者が加害者に変身):

 

歴史の中で実に不思議なことが起きました。被害者が加害者に変るのです。ユダヤ人はナチス・ドイツに迫害されてヨーロッパを逃れ、安全な場所を求めて私たちのパレスチナの地にやって来ました。世界の三大宗教、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地ですが、何世紀にもわたってお互い平和に協力しながら寛容に他者を受け入れ、他者と共存し、他者をおもんばかって暮らしてきていました。ですから彼らが移り住んで来ても、私たちは迎え入れたのです。そこに彼らの家が建ち共同体もやがてできました。しかし、彼らは乗っ取ることにしたのです。そして犯罪の中でも最たる犯罪「ナクバ」(=大災難)が起きました。

私たちが何をしたというのでしょう?!私たちは何も悪いことはしませんでした。迫害したり、殺したりはしませんでした。しかし、そうして私たちは犠牲者となったのです。まさに「カフカ!」(=不条理だ!)です。ヨーロッパ人も、アメリカ人もそれを後押ししました。そして隠蔽をしました。こうしてパレスチナ難民600万人が生まれたのです。

そればかりではありません。私たち犠牲者の権利も否定されました。ユダヤ人たちはこんな言い方をしたものです。「アラブ人(=パレスチナ人)はテロリストというだけではない。彼らは私たちに悪いことをさせる。私たちに人殺しをさせる。あやまちを犯させる」と。加害者が被害者のせいにするのです。

ですから今回広島で私は衝撃を受けました。「あやまちは繰り返しません」という言葉です。誰のあやまちというのでしょう?! 被害者のあやまちですか?! 広島の人たちのあやまち、市民のあやまちというのですか?!悪いのは原爆を落としたアメリカに決まっているでしょう! アメリカがあやまちを犯したのです。広島の市民、被爆者ではなくて。被害者ではなくて。

日本がイスラエルから無人機で超法規的に人を殺すことを学ぼうといのなら、私にはどうすることもできません。日本が、非拘束者の拷問の仕方をイスラエルから教わろうとか、他国民の迫害の仕方を学ぼうというのなら、私がとやかく言うことではない。止められるものでもありません。

しかし日本は文明国で、日本人と言えば、真面目で、勤勉で、誠実で、礼儀正しく、規律正しく、パレスチナでは、というか中東全域で、その好感度は絶大です。

日本はなぜ自らその名を汚すのでしょう?! なぜ、犯罪者とジャングルの掟(弱肉強食)の側に付くのでしょう?! これは健全なことではありません。まったく不健全です。私には理解できません。

そして青天の霹靂でした。ソニー製品が、パレスチナ人を殺すことに使われたのです。(訳注:ミサイルの破片からソニー製品が見つかったという現地のテレビ報道があった。)私は7歳、8歳のころからソニー製品に親しんできました。ラジオ、テレビ、カメラ。ソニー製品を人にあげたら、もう最高の贈り物です。それが私たちを殺すために使われたと言うのです。

私たちがソニーに何をしたというのでしょう?! カメラの使い方がまずかったのでしょうか? テレビの使い方を間違えたといいうのでしょうか?
なぜ?! 名門企業が、そんなことを? イスラエルの軍事攻撃を助ける?!
誘導型ミサイルのカメラ? この展開、私は嫌いです。誰にとってもいいことはありません。

(日本人に何ができる):

パレスチナは物乞いの国ではありません。尊厳があります。誇りがあります。日本を含む国際社会には、危機だからといって、お金を恵んでほしい、施しをしてほしいとは思いません。危機にあって、この人災の最たる犯罪的な封鎖、占領を終えてほしいと思います。

パレスチナは大学卒業率では世界最高水準です。すばらしい熟練した労働力があります。本来なら最強の経済界であるはずです。しかし水道水や下水の処理すらかないません。死者をきちんと埋葬しようにも、セメントがありません。重病人を治療することができません。

…日本が貢献すべきは、この犯罪的な違法なガザ封鎖の解除です。再建のための資金援助の道もあるかもしれませんが、貢献すべきは封鎖を解くことです。封鎖さえ解除されれば、あとは自分たちでやっていけます。パレスチナ人は働き者です。自分たちでやって行くだけの技量もあります。そこが日本の貢献すべきところです。無人機やミサイルを誘導するカメラや安全保障ではなく。

…旧交を温めたり、新しい友人との出会いがあったり、今回の来日はすばらしい毎日でした。1分たりとも無駄にしませんでした。…日本の人たちがパレスチナのことを心に掛けてくれている、友人たちがここにいると知るだけでも大きな支えです。…そんな交流を今後とも続けたいと思います。

今日は少し暗い、悲しい話だったかも知れませんが、困難な時、行く道は二つに一つです。立ち上がるか、あきらめるかです。私たちは立ち上がる道を選びました。それは、これが高邁な戦いであることを知っているからです。それは正義と尊厳を求める戦いなのです。


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ラジ・スラーニ 各会場の講演と質疑:

1011日 東京大学

 ⇒ 講演「沈黙という名の共犯関係」

 ⇒ 質疑応答

1012日 東京大学

 ⇒ 土井敏邦監督の記録映画について

 ⇒ 臼杵陽教授との対談

1013日 京都大学

 ⇒ 講演「かくも重き罪 裁かれぬ理不尽」

 ⇒ 質疑応答

 ⇒ 京大講演 IWJ 動画 「ガザに生きる尊厳と平等を求めて」

1015日 広島大学

 ⇒ 講演  「戦争犯罪の責任を問う」

 ⇒ 質疑応答

1017日 東京四谷講演  弁護士集会

 ⇒ 講演「ガザの封鎖を解いて下さい」

 ⇒ 質疑応答

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