われてもすえに会わんとぞ思ふ

ひと駅を乗り過ごしたる秋の暮れ
フェイスブックのお友達が
「寝ていた訳でもないのに一駅乗り過ごしてしまった」
とお書きですが、
ひと駅乗り過ごしたぐらいで驚いてはいけません。
私など、引き戻すつもりで別の路線に乗ってしまったりします。
それと棚によく物を忘れます。
「おっと、一駅手前で降りるところだった」
と降りるのを思いとどまったがために、
乗り過ごしてしまう
なんて手の込んだ事までやってます。

われてもすえに会わんとぞ思ふ

あのときも私はとても焦りました。 
でも最初はそうでもなかったのです。
どっちかというと余裕でした。
 
京急品川駅で羽田行きの電車を待っていて
いつもなら時計を見ーみー
どーしていつもぎりぎりで駆け込むことになるんだろー
飛行機に間に合うかどうかのこのスリル、いつも最後は
重い荷物かかえ汗だくになってエスカレーターを駆け上がる
という展開なのに
この日は珍しく時間によゆーがあったのです。
 
珍しく駅構内のアナウンスなども耳に入ってくるし
Passengers going to Haneda Airport should take this train.
だなんてまた変な言い方するよなー。駅構内のアナウンスなんだから
相手は乗客だって分かりきってることをいちいち言わんでええちゅーねん。
スリの皆さんとか、例外的な相手のときのみ言及すればいいわけで、
それにshould takeの should が違和感というか気にくわん、
わしに命令する道義的権威でも持ち合わせてるかごときその物言い、
なんでもっと簡潔に Take this train for Haneda Airport.
とか胃炎もんかね
などとどーでもいーよーなことにまで思いめぐらせていたのでした。
 
とはいえ私もついに旅慣れたてきたとゆーか
時間もよゆーだし身軽でいいよな今日は
リュックサック一つ肩に掛け・・・
 
 身軽? 
 リュックサック、ひーとーつーっ??!!!
 
気づいて血の気が失せました。 
カバンを山手線の網棚に置いたまま降りて来ていたではないですか。
 
どっひゃー!
 
遺失物の事務所に駆け込んで探してもらうが、係の人は
「上野駅で調べます」
と言ったきり裁判官みたいに無表情。返答なし。 
 
「あ、あ、あの、さ、さ、さきほど
 手提げカバンと電話しておられましたが、
 しょ、しょ、しょ、ショルダーバッグと
 言い換えてもももらえませんか」

と言っても受け付けてくれない。
遠い昔、テレビで同時通訳やっていて
機械の接続がおかしく自分の声が自分の耳に戻って来る事故のときくらい
私は焦りまくっていた。
 
「ククク黒の、お、お、お、大きなやつなんですけど。。
 <手提げカバン>では多分
 間違った印象を与えるのではと・・」
 
と言ったが、反応というものがない。とにかく駅員さんたちには
およそ最善を尽くして探し出そうという覇気が感じられない。
その間、傘だの携帯だのと
つぎつぎに私以外の老若男女いろいろなうっかり者の対応にも追われている。
 
カバンの中には飛行機の切符もあればホテルの予約票、 
コンピューター、出席簿、試験問題、学生たちのレポートも。。。
手元にあるのは肩にかけたリュックのパンツと靴下。 
逆ならまだしも。。
結局、上野駅で乗り込んで調べたがなかったという。
「ま、誰かが持ってっちゃいますよね、
 いい人なら出て来たりもしますが、
 どこへ持ってくかですね、
 捨てちゃったりね」
と駅員さん。
 
 ほんとに捜したのか。カバンの特徴すら伝えてくれないのに。
この絶望的な状況の中、私は感情的になりながらも、山手線が
環状線であることでひらいめいた。
 
こうなれば崇徳院、雑踏のなか
自分で探しあてるしかない!
電車が一周してきたところを待ち構えるのだ。
今の電車を特定できますかと聞いたら
品川着12時48分のやつ
「だろう」と言われるので、その1本前から見ることにして、
待つ間に、いろいろと記憶をつなげながら、
駅ホームの見取り図を睨みながら
このあたりに違いないとあたりをつけ、
これも前後1両見るつもりでいた
(しかしそれだけの時間的余裕あるのかね)。
 
山の手線に乗っていたときはずっと本に没頭していたが、
ときどき駅名を確かめるために外をのぞいてもいた
(没頭してなかったということか?)。いずれにせよ
ホームの人影と「目黒」の字が蘇る
(山手線内側に座っていたということだな)。
品川駅のホームでは少しだけ渋谷側に戻って階段を登ったのも覚えていた
(<あと少しでピッタシのとこだったの>にという思いが頭の片隅にあった)。
7号車に違いない。
 
そしていよいよ一周してきたと思われる電車に乗り込んで 
多分こっち側のこの辺りと棚を見上げるというと
ななななんとそこに
私のよれよれのカバンが
ちゃーーんとあったではないですかあー。
 
おおお、奇跡。。。
 
時計を見ると飛行機の出発まであと30分。
けっきょく自腹で移動。
 
しかし棚にカバンの姿を見つけたときには
われてもすえにあわんとぞ思う
いやー我ながら驚いた。
 
けっきょく人生あてにできるのは自分だけ?
それと運。
駅員さんが電車を特定してくれたのには感謝。
 
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