中国が今年2017年中に国内の象牙取引を禁じると先週発表した(2016年12月30日)。アフリカにおけるゾウ密猟の牽引車、中国がである。アメリカに続いて中国という象牙の巨大市場が閉じることになる。残るは日本だが、日本政府は国内の登録制度が機能しており売買されているのは合法材だけであるとの主張、売買を禁じるつもりはない。しかし、NGOの覆面調査などで、その制度が抜け穴だらけであることが詳細に指摘されている(「日本は不正だらけ」)。そして日本政府は、具体的な根拠をもってその指摘に反駁できていない。要するに、政府がちゃんとやってると言うんだからちゃんとやっているんだよ、ということ。
去年2016年9ー10月のワシントン条約締約国会議(南アフリカ・ヨハネスブルグ)では各国国内の象牙市場を閉鎖するよう勧告する決議が採択されたが、日本政府は日本市場は閉鎖対象ではないとの解釈。これも、日本政府がそう言うからそうなのだ。日本は象牙に関して今後ますます風当たりが強くならざるをえない。
中国の発表の翌日、「セイバー」というあだ名のボルネオゾウが遺体で発見された。殺されたのは11月下旬か。場所はボルネオ島、マレーシアのサバ州。
Sabre(サーベルの意。セイバーと発音されるものと推測)とあだ名が付いたのは、普通のボルネオゾウだと象牙が真っすぐ伸びているのに、この雄の場合、絶滅したスミロドンの犬歯のように、内側に湾曲していたからである。保護活動家らからも愛され、発信器を付けられて野生に放たれていた。
スミロドン: ネコ科。剣歯虎/サーベルタイガーの一種。300万-10万年前の南北アメリカに生息していた。
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アフリカゾウにはみな象牙が生えるが、アジアゾウは一部のオスのみ。さらにその象牙はアフリカゾウに比べてもろく、色も黄味を帯びがちということもあり、これまであまり密猟の対象となってこなかった。しかし、ついに触手が伸びてきたということだ。
ボルネオでは2013年にゾウの大量毒殺事件があった。これは、ゾウに作物を荒らされる農民によるものと思われた。写真は死んだ母親のそばを離れようとしない仔象。
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森林の伐採、農地転換、近年の油ヤシのための大規模なプランテーション開発。ボルネオゾウは生息地を奪われる一方だ。人間との対立も増えてくる。農民にとっては害のある生き物かも知れないが、糞で種を遠くにまでまき散らす役目を果たせば、けもの道も作ってくれるし、森の生物の多様性に貢献してきた。
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「日本よサラワクからの木材の輸入を止めよ森のあるうち」←EU、アメリカ、豪州と違い、日本は違法材の取り締まりが甘い。法律で禁じよ。
日本は不正だらけ 象牙の登録と取引を直ちに停止せよ 環境NGOが報告書
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