ラム・ドゥアンはメスの象で62歳
(私よりちょっと若いがほぼ同世代)
象としてはもう寿命だ
歯がすでに6回生え代わっているはず
それが最後だ
その歯を失ったらもう生え代わらない
死ぬしかない
食べられなくなって弱って行く象
野生の群れでそんな象がいたら
他の象は集まって来て
みんなで体をすりよせて
その象を慰めてやる
最後のお別れだ
この象は視力を失っているらしい
つらい人生(象生?)だった
30年間 重労働をさせられた
最初は木材の運搬
そのあとは観光客を背中に乗せて運んだ
(だから私はゾウには乗らない)
ピアノを弾いて聴かせているのはポール・バートン
ラム・ドゥアンが象の救済施設「エレファンツ・ワールド」にやって来たのは2012年だった
一目見るなり
胸が痛んだという
「音楽を聴かせると彼女は落ち着くんだ」
最初の曲はバッハの前奏曲ハ長調(*)
平均律クラフィーア曲集の一番最初の曲
(グノーがその上に旋律を乗せて『アヴェ・マリア』を作った***)
二曲目もバッハ。ゴールドベルク変奏曲(**)。
象はバッハが好きなのか。
https://noraneko-kambei.blog.so-net.ne.jp/2015-10-21-1
(こっちは2頭の象がどっぷりつかるドッペル・コンチェルト)
象がじっとそばで音楽を聴いている
人間とふしぎな何かで心が結ばれている
ことばではうまく説明できない何かで
うつむき加減に
音楽に合わせてゆっくり体を揺する象
人は心を激しく揺さぶられずにはおられない
アフリカゾウはいま40万頭を切ったとも言われる
開発で生息地を奪われ
密猟で命を奪われ
絶滅の危機に直面している
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フェイスブックの友達の反応:
友達1:悲しいのと、素敵なのが一緒。。。
のら猫:象は記憶力がいいから、昔のことを思い出して沈んでいるのか。でも明らかに癒されているように見えます。プレリュードでは曲のいちばんの感情の高まるところで足を踏み出すから音楽として聞こえているようにも思わせるし、ゴールドベルク変奏曲ではじっとして曲想そのもの。心の平穏が得られているよう。
象は人間の耳には聞こえない低周波の音なども豊かに響くだろうから、物理的に心地よいのだろうが。
楽しんでいるのはこれ。これもバッハ。
象2頭がまさにドッペル・コンチェルト。バッハの世界にドップリひたり切った体の揺れ具合。バイオリンも二丁でやりたかったなあ。
遠くで何かパンパンと音がして象はやめてしまった。(象は繊細だ)。これがなければもっと続けられたのに。残念!https://t.co/KcVCJ9KhtK— 中嶋寛兵衛 (@noraneko_kambei) 2014年8月29日
友達2:ここのバッハの3曲に共通するのは、インテンポ(一定のテンポで演奏する)、緩やかなテンポ、協和音の連なりが中心、おだやかな曲想、音は中音域が多い。
これらに加えて、ご指摘のように象が低い倍音を聴きとれる聴力があるとするならば、胎児の頃の母親の心臓の音、鼓動に近いのでは? 私は、インテンポと低い倍音が気になります。
のら猫:なるほど。さすが分析的。
友達3:複雑ですね。この象さんを痛めつけたのも人間、最後に癒すのも人間。。。最期に保護されてよかった。これ見てあらためて思う、象牙なんかとるのほんとうにやめよう!
友達2:音楽の最大の特徴は空気振動であることですから、生き物の種類を問わず血行やリンパ行など体内循環に好影響を与えるのでしょう。昔は生活の中にもっと音楽があったような気がします。もっとも、最近の若者がイヤホンを両耳に差し込んで、やたらに何か聞いているのは考え物ですが。
のら猫:象の聴力は想像を絶するらしい。地面を通じて足の裏でも聴き取っているという説もある。何十キロ先の同類の信号がそうやって受け取れるらしい。
ゾウには250キロ先の雨が分かる
象はアフリカで戦争を逃れて移動したあと、停戦が成立して帰還していい時期もピタリと当てる。
友達4:(カナダから)自分が恥ずかしい、象さんの素晴らしさに。悟りにも似た表情に胸一杯です。Glenn Gould のピアノ演奏の姿がなつかしかつたです。彼の弾くバッハを一日中聞き流す雪の日の幸福があります。
のら猫:グールドはカナダ東部の山小屋みたいなとこに住んでたんですよね。「彼の弾くバッハを一日中」私と同じです。
ほんとにこの象の静かな面持ちには深いものがありますね。
友達5:ほほえましく見ていたら自然に涙が。。
のら猫:象って人の心に迫る何かがあるんですよね。象の神秘。
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『象にささやく男』
訳者(のら猫 寛兵衛)あとがき
https://noraneko-kambei.blog.so-net.ne.jp/2016-03-14
ゴールドベルク変奏曲
フーガの技法
協奏曲 BWV 974 !! (原曲はマルチェッロのオーボエ協奏曲)
マルチェッロ:オーボエ協奏曲
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