前々回の投稿で紹介した熊本の湧水ーー
豊かできれいでおいしい水ーーこの熊本の宝が今、危うい？！
大量の地下水を使って様々な有害物質を洗浄する半導体製造工場ーー
台湾のTSMC（受託生産世界最大手で世界最先端の半導体メーカー）の大規模工場が
熊本県に進出、
水の枯渇や排水による環境汚染が懸念されているのである。
（第１工場は去年12月に本格操業開始、現在第２工場を建設中。いずれも菊陽町。）
（地図：西日本新聞より）
すでに地下水の水位低下の予測や有害物質PFAS（ピーファス）の検出が報告されている。。
地下水位、最大1.12メートル低下の予測
2025年4月26日 朝日新聞 https://digital.asahi.com/articles/AST4T4WQJT4TTLVB002M.html
熊本の川でＰＦＡＳ濃度増 ＴＳＭＣ工場から処理水
2025年3月27日 共同通信 https://kumanichi.com/articles/1726162
政府は、やれ日本の半導体産業の復活だ、経済安全保障だ、全国の経済への波及効果がある、
などと言って、熊本県菊陽町への工場進出（第１・第２工場）に
巨額の補助金を出すことになっている。
TSMC熊本工場に補助金4760億円 従業員1200人を地元採用
2022/06/16 朝日新聞 https://digital.asahi.com/articles/ASQ6K5221Q6KULFA00M.html
TSMC熊本第2工場、最大7320億円補助 経産相表明
2024年2月24日 日経新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2425J0U4A220C2000000/
TSMC自体の両工場への投資額は200億ドル（およそ3.1兆円）というところへ、、
台湾の半導体大手TSMCに日本政府が“1.2兆円”の巨額補助金
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1019833
しかし日本も落ちぶれたものよのう。
国は台湾の企業に我々の税金1.2兆円を付けて
熊本の世界に誇る大切な水を差し出して
いらはい、いらはい。
日本一の地下水都市、世界でも稀な熊本の水は、天・地・人の恵みーー
豊富な雨、独特の火山性の地層や人の営みの賜物である。
さればこそ
熊本市（人口約74万人の政令指定都市）の水道は大正13年（1924年）に始まって以来
100％を地下水でまかなっている（人口50万人以上の町では熊本だけ、世界でも稀）。
阿蘇外輪山から西に連なる「熊本地域」（熊本市など11市町村の1,000km2、人口およそ100万人）の水道も
ほぼすべて地下水なのである。
雨：まず阿蘇という国内有数の多雨地域を有するということ。
土：その雨が、阿蘇カルデラから続く火山性の地層に浸透して地下水になってゆく。
今から30万年前〜８万年前に巨大爆発を何度も起こした阿蘇の火砕流は九州全体を包むほどで、
その火山灰や軽石や溶岩が混ざった堆積物の厚い地層（厚さ100mを超えて広く分布）は水を通しやすく、天然の濾過装置として機能している。地下水はそこを長い年月をかけて通過（これを涵養〜かんよう〜と言い、地下水が熊本市に辿り着くまで、阿蘇外輪山西麓付近から約20年、白川中流域からは約5 ～10年）、その間に不純物が取り除かれ、岩石のミネラル成分が溶け込み、「蛇口をひねればミネラルウォーター」とまで言われる奇跡のような熊本の水道水が生まれるのである。
というか市販のミネラルウォーターよりもカルシウムやマグネシウムといったミネラル成分が多いという。
おいしい水道水
熊本市水道局 https://www.kumamoto-waterworks.jp/waterworks_article/1183/
阿蘇火砕流堆積物
阿蘇ペディア www.aso-dm.net/?阿蘇火砕流堆積物
奇跡の地下水物語
世界に誇る地下水都市・熊本 熊本市ホームページhttps://www.city.kumamoto.jp/kankyo/kiji00320463/index.html
「ねとらぼ」のおいしい水道水の県別順位争いで2022年には熊本が第１位に。
https://nlab.itmedia.co.jp/research/articles/730675/
熊本市の水道水も厚生省の「おいしい水研究会」で1984年に全国３位。
熊本の地下水保全の取り組みは国連「生命の水」最優秀賞も受賞している。
人：
天から降ってきた水は森林や草地、田畑等で地下水として涵養される（＝じっくり通過する）が、
白川中流域の大津町、菊陽町などでは水田が大きな涵養域となっている。
加藤清正
築城の名人加藤清正は、治水・利水工事でも知られ、
今なお住民が恩恵に浴しているものも多く、
「せいしょこさん」の名で慕われている。
川の流路を変更し、堤防を築き、干拓を行い、
用水路に土が堆積するのを防ぐ独特の工法「鼻グリ井出」を用い、、
「土木の神様」であった。
白川中流域では大規模な水田開発を行った。
この地域の土壌は水が浸透しやすく、水田は通常の何倍もの水を涵養する「ザル田」。
それによってさらに地下水が豊かになるのである。
地下水盆
「熊本地域」のお盆状の岩盤は阿蘇外輪山に連なり
火砕流堆積物や砂礫層を含む大量の地下水の受け皿ーー
広大な「地下水盆」となっている。
この「地下水プール」に集まったきれいな豊富な水に目をつけたのがTSCMなのである。
熊本の大切な水のど真ん中に半導体工場！
熊本は
バブル
熱狂
そして農地の転用で涵養が失われるはめに、、、
「まるでバブル」TSMC工場建設の熊本 山林の価格は2年で4倍に
2023年3月5日 朝日新聞 https://digital.asahi.com/articles/ASR2Q6S64R10TLZU001.html
TSMC進出の熊本、農地で起きた「貸しはがし」と「雇い負け」
2024年4月12日 朝日新聞 https://digital.asahi.com/articles/ASS4B40ZBS4BULFA001.html
「土地を売ってほしい」“半導体バブル”酪農王国に押し寄せる開発の波
2024年7月1日 熊本朝日放送 https://www.kab.co.jp/news/article/16117968
KABによると
地価の上昇率は日本一を記録し、周辺の時給も首都圏を凌ぐ勢い
その一方で急速に進む農地の減少
熊本県は牛乳の生産量が全国3位。
菊陽町や隣の大津町一帯は、とりわけ酪農が盛ん
「酪農王国・熊本」の屋台骨
広大な農地で飼料用の牧草やトウモロコシを栽培
土地価格が4倍、5倍と上昇する中
菊陽町や大津町などTSMC周辺の4市町では
農地164ヘクタール（東京ドーム35個分）が工場やマンション用地に
農家は熊本地震から農場を再建したのに
「土地を売ってくれ」借りていた畑を「全部返してくれ」
化学肥料を使わずに堆肥で牧草を育ててきた農家
農場から出た糞で「循環型農業」に取り組んできたのに
近くまで民家ができて住民から苦情
「くさい、洗濯物ににおいがうつる」
熊本の賃金相場を動かしたTSMC
2022.10.27 日経ビジネス電子版 https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/00108/00205/
「大卒初任給が28万円、中途社員の年収が800万～1200万円。
台湾積体電路製造（TSMC）の進出が熊本県の賃金相場を上昇させている。」
「半導体受託生産の世界最大手、TSMCの進出で熊本経済が沸いている。」
「出荷開始は2024年末の予定だが、周辺では半導体や物流関連企業などの拠点開設が相次いでいる。最新の基準地価で、菊陽町の工業地の上昇率は32％で全国一となった。」
「現地では人材の争奪戦が始まっている。熊本労働局によると、県内の「半導体チップ製造工など」の有効求人倍率は、新型コロナの影響で20年度には0.56倍に落ち込んでいたが、21年度は3.33倍まで跳ね上がった。」
半導体工場進出、熱狂続く熊本 「数十年に1度のチャンス」
2023/03/10 時事ドットコム https://www.jiji.com/jc/v8?id=202303kumamoto01
「建設予定地の自治体では、工業地の地価が全国トップとなる前年比３０％超の伸びを示し、
周辺自治体でも住宅地や商業地が値上がりしている。
新工場の波及効果は関連産業だけにとどまらず、
地元首長からは
「数十年に１度のチャンス」との声も,,,」.
地元の肥フィナンシャルグループは
「国内の半導体関連企業を中心に約８０社が新たに熊本に拠点を置くと試算。」
「 不足する用地を確保するため、市は農地の転用を計画。守田氏（宇城市長）は、
「ＴＳＭＣ特需に宇城市も乗り遅れないぞという気構えだ」」
恥ずかしくないのか
こんなバスまで走らせて
要するに
We ❤️ カネ
熊本では台湾熱が高まり
台湾祭りやら台湾物産展のようなものがしょっちゅう
しまいにゃ姉妹郵便局まで
音楽（これは私は歓迎なんだが…）
「台湾タウン」まで出現する勢い
熊本にいながら台湾気分を…進む「台湾タウン」構想とは⁉︎
2024/2/9 熊本朝日放送 https://www.kab.co.jp/special/kumamo-to-taiwan/kumamoto/020003.php
ところがである
さっそくおいでなすった
熊本の川でPFAS濃度増 TSMC工場から処理水
2025/3/26 共同通信 https://kumanichi.com/articles/1726162
熊本市を流れる坪井川で
有機フッ素化合物（PFAS）2種類（PFBSとPFBA）の濃度の増加が確認された。
この川にはTSMCの工場から処理水が放出されている。
2024年末に工場の本格稼働が始まった後の今年
2025年1月に調べた。
いずれもTSMCの工場で使用されている物質。
ところが
PFAS上昇「因果関係」の説明に食い違い
TSMC進出後の河川水
2025年4月9日 朝日新聞 https://digital.asahi.com/articles/AST484VSRT48TLVB003M.html
朝日の記事によると
「熊本県と菊陽町が、工場稼働との因果関係を「不明」とする説明を続けている」
ばってん
「専門家による委員会は、因果関係を認める説明をしている」
グラフは同記事より：
この記事によると、工場のある菊陽町が3月29日に住民向けに開いた「半導体・地下水セミナー」、
参加者がTSMCの担当者に質問すると、小牧裕明副町長が代わりに回答した。
「因果関係がまだよく分かっていない。因果関係は、県で対応を検討している」」
「その2日後。PFAS類の使用中止を要請するよう申し入れた共産党県委員会に対し、県の担当者が「濃度上昇とTSMC工場の因果関係は、あるともないとも言えない」」
県の環境モニタリング委員会・篠原亮太委員長：
「短期的には直接の影響がないレベルだ」としつつ、工場稼働との因果関係を認めた上で
「排出量を少なくするよう企業側に求めるべきではないか」
別の委員も取材に「断定ではないが、TSMC工場の排水が原因だという認識で議論した」
「濃度上昇が確認された物質のうち、坪井川で検出されたPFBSは1リットルあたり59ナノグラム」「昨年春までの約1年間の平均に比べて濃度が8・55倍」
「これまで未検出だったPFBAも同15ナノグラム検出」
これらの物質は
「法令上の規制や基準がないものの、TSMC側が自ら使用を公表している。
一方で県は、周辺の他工場が、同じ物質を使っているかどうかは調べていないといい、
濃度上昇とTSMC工場の因果関係を今後、具体的に検証するかは未定だという。」
因果関係を検証するかどうか未定！！
共産党県委員会の松岡勝委員長は「国任せではなく、県の条例改正で排出を規制すべきだ。
（原因が特定できないことを理由に排水を止めなかった）水俣病の教訓にたって、
予防的な環境行政をすべき時ではないか」と県に申し入れた。
水俣病の教訓。まさにそうだ。
当初チッソの排水を問題にすると、経済発展の邪魔をするのかと白眼視された。
経済優先には気をつけるべし。企業や政府の言うことは鵜呑みにしないことだ。
それにしても
TSMCの工場との因果関係は調べてない！
今後も調べるかどうか未定！
驚くね。
そんでもってこのまま
この上まだ作るんかい！？
熊本県知事、TSMCに第3工場の県内立地を要請
この上さらに第３工場！
これでさらに森林や田畑が減少。
その分、涵養は減り、地下水も減る。
それじゃいかんよう。
そして半導体は進化し続け、その分、
今まで以上に水が必要となる。。
そんでもって
排出される有害物質には寛容？
規制は政府や財界が寄ってたかって甘くする？
PFASってどんな健康被害、環境汚染が懸念されている？
そのへんのことは次回にしよう。
国会での辰巳孝太郎衆議院議員（共産党）の追及を紹介するつもり。
国や県はこれまでどれだけの農地が転用されたか、きちんと把握しているのか？
今後どれだけの地下水が採取されるのか、ちゃんと分かっているのか？
関連企業の進出による影響の調査も県はちゃんとやっていない？
県まかせの国はやっていない。県が「今後調査する予定と聞いている」（環境省の役人）。
おいおいおい。
環境影響調査なんてのは事前にやるものだろ？！
国が巨額の税金を投入する工場誘致。その影響の調査を事前に、、
やっていない！？
PFAS規制に甘い日本？規制強化が世界の潮流なのに。
欧州での規制の動きに対して
経産省が日本企業に呼びかけて規制を弱めようとしていた？
などなどなど
答弁を聞いてびっくり玉手箱、、
TSMC新工場、水使用に不安 半導体工場に問われる自然の価値への代価
2023.12.27 日経ESG 藤田 香 https://project.nikkeibp.co.jp/ESG/atcl/column/00005/122500415/
「第二の台湾」になるのか？ TSMC進出が招いた“豊富な水”が枯渇する日
2025/11/18 橋本 淳司 https://toyokeizai.net/articles/-/916689
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今日もお読みくださりありがとうございました！
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