(国防長官)ヘグセスは宗教極右「キリスト教・支配主義者」の危ない男(前編)

(Photo: The Guardian)
エプスタインが日本を襲う(4)キリスト教ナショナリズム・ドミニオニズムのアメリカ

イランが期限(日本時間4月8日朝)までにホルムズ海峡の閉鎖を解かなければ
イランの全ての橋と発電所を破壊するとソーシャル・メディアで口汚く脅したトランプ。
(非軍事的標的への攻撃は戦争犯罪)

戦争犯罪を犯すことを自ら宣言する異常さにも驚くが、
その言葉遣いがあまりにも常軌を逸している。

「忌々しいこのクソ海峡を開放しやがれ、気狂いの馬鹿野郎ども。
さもなくば、地獄に堕ちろ。見てろよな!」

そして「アラーの神を讃えよ」イスラム教への皮肉で締めくくった。

「忌々しいクソ」と訳したが、Fの字で始まるこの言葉、日本語には文字通りには訳しにくい。
「性交」を意味するのだ。公共の場では使うのが憚られる汚い言葉で、印刷媒体では通常、伏せ字を使うし、テレビなどで流れる時は、「プー!」と音を被せて聞こえなくされる。
それが、公共の場で言っていいことと悪いことの境界線という、アメリカ社会のしきたりだ。
(それがために、そういう言葉の汚さ、強烈さ、反社会性が薄れずに保たれるのでもあるが)。
bastardsという罵りも「馬鹿野郎」と訳したが、原文通りだと「私生児野郎」だ。
この大統領は、いろんな意味で一線を超えている。

戦争とはいえ、およそ国家元首が他の国に呼びかけるときに用いる言葉遣いではない。

しかも復活祭というキリストの復活を祝う、キリスト教にとって最も大切な時期にだ。
しかもトランプは自他共に許す「神から選ばれた指導者」
アメリカというのは(イスラエルと共に)神から選ばれた特別の国
だというのだから呆れた話だ。

“Tuesday will be Power Plant Day, and Bridge Day, all wrapped up in one, in Iran. There will be nothing like it!!! Open the Fucking Strait, you crazy bastards, or you’ll be living in Hell – JUST WATCH! Praise be to Allah,”

Trump threatens ‘hell’ for Iran over Hormuz Strait as deadline approaches
Al Jazeera 5 Apr 2026 https://www.aljazeera.com/news/2026/4/5/trump-threatens-hell-for-iran-over-hormuz-strait-as-deadline-approaches

イランのメディアによると、首都テヘラン郊外では7日、鉄道が空爆の標的となった。
北西部の幹線道路の橋や、イスラム教シーア派聖地の中部コムなどでも橋が空爆され、
すでにインフラ施設が攻撃を受けている。
これは「兵器の運搬に使われている」としてイスラエル軍が空爆したもの。

米、カーグ島軍事目標を攻撃 イラン各地で鉄道や橋も空爆
時事通信 2026年04月07日 https://www.jiji.com/jc/articlek=2026040701133

トランプが警告した「イランの全ての橋や発電所の破壊」の期限が迫る中、
イランの革命防衛隊は、攻撃されれば必ず報復する、
「米国とその同盟国が今後何年も地域の石油やガスを利用できないようにする」
と宣言。

かつてのイラン・イラク戦争ではお互いの都市を狙ってミサイルを撃ち合った。
イランの反撃予告は脅しではないだろう。

イランはまた橋や発電所の周りを人が手を繋いで囲む「人間の鎖」を作るよう国民に呼びかけた。
それでもトランプは
「イランが本来いるべき石器時代に戻してやる」
「天から地獄が降り注ぐ」

という空爆を命じるのか。

固唾を飲んだが、結局イラン側が停戦協議を受け入れ、2週間、交渉することになり、
トランプの言う「地獄」だの「一つの文明が滅びる」だの
といった事態には至らなかった。

私は川べりでタンポポと遊んだあと藤崎宮前行きの菊池電車で
例の図書館カフェに向かった。

案の定、哲っちゃんが来ていた。

のら猫寛兵衛:とりあえず「地獄」は回避されたようだね。
なんかもう宗教戦争だね。神を冒涜するような大統領だけど。
ネタニヤフも政権内にユダヤ教の宗教政党がいるし、対するイランはイスラム教の神権政治。

曽倉 哲:そして実はアメリカにも神権政治を目指す勢力がいる。キリスト教で。
それがなんとピート・ヘグセス国防長官と強い絆でつながっているんですよ。
それにしても、本格的に停戦交渉する間は停戦ーー
と言いながら、イスラエルはレバノンを攻撃してる。
いよいよ「大イスラエル構想」を実行するつもりか。
旧約聖書の創世記で神がアブラハムの子孫に約束した
「エジプトの川から大河ユーフラテスまで」。

猫:そうなんだよ。しかも、イスラエル、これを名付けて「永遠の闇」作戦。
過越の祭りが近い時期だし、旧約聖書(ユダヤ教でも聖典)の出エジプト記に出てくる
「暗闇の災い」のことかもしれないけど(エジプト全土が三日間、闇に包まれた)、
レバノンの三人に一人はキリスト教徒ということで、あてつけに
あえて新約聖書(ユダヤ人にとって聖典ではない)から「地獄」を意味する表現を使った
のかもしれない。

「ハルマゲドン」に十字軍、宗教色強まるイラン戦争
AFP 2026年4月4日 https://www.afpbb.com/articles/-/3629940

哲:もはや宗教戦争だね。アメリカはホワイトハウスでもペンタゴン(国防総省)でも
キリスト教の牧師が来て戦勝祈願みたいなことをするようになった。
トランプは神がつかわしたことになっている。

猫:なにしろヘグセス、腕に「Deus Vult(神がそれを望む)」と刺青してる。
これは11世紀末の第1次十字軍の合言葉だった。
十字軍の戦士たちは、イスラム勢力からイェルサレムを奪還するんだと
「神がそれを望む!」と雄叫びを上げて、聖地へと旅立ったんだね。

哲:ヘグセス国防長官、聖地エルサレムをイスラム教徒から奪還という
十字軍の戦士気取りもいいとこ。
著書の最後もその「戦士」という言葉で結んでいるらしいです。
その言葉も好んで使います。
記者会見でも「我々はもはやdefenders(国防の兵士)ではない、
warriers(戦士)と言っている。

でも「イラン戦争」とは言わない。
戦争と言えば、議会の承認が必要という国内法があるので、避けているんですよ。

しかしヘグセス長官、胸にはエルサレム十字のタトゥーですからね。
これも聖地奪還の十字軍を象徴するもの。
いかにも、聖地奪還、イランとの戦争、「神はそれを望む」と言わんばかりです。

猫:トランプが国防総省(Department of Defense)を
「戦争省」(Department of War)に改名したのも
ヘグセスの影響かと思えてくる。

”Department of War”(戦争省)

ヘグセスは自称「古典的戦闘的クリスチャン(Classical Millitant Christian)」。
自分の子供達にもそうなるための教育を受けさせようと
ニュージャージー州からテネシー州にわざわざ引っ越している。

復活祭の「聖週間」に、大統領執務室で、
フランクリン・グラハム牧師(福音派でビリー・グラハム師の息子)はこう祈った。

「きょう、イラン人、この邪悪な政権は、すべてのユダヤ人を殺し、核の炎で滅ぼそうとしています。しかし、主はトランプ大統領を立ち上がらせになられました。このような時のために彼を立ち上がらせたのです。父なる神よ、彼に勝利を与えたまえ」

私はトランプが「立ち上がった」のはエプスタイン事件から逃げるためだと思ってるがね。
「核の炎」ってグラハム牧師は言うが、イランは核兵器持ってないからね。

哲:イランはNPT(核不拡散条約)の加盟国として、核兵器は持たないと宣言しているし、
NPTによればウランの一定程度の濃縮はイランの「奪いえない権利」

猫:イランは核兵器開発の意志もないと言っているのに、イスラエルのネタニヤフ首相は
もう何十年と「イランはあと6ヶ月で核兵器を手にする」と言い続け
イランをやれ、イランをやれとアメリカにせっついてきた。
トランプ自身、去年、イランの核を木っ端微塵に粉砕したと言っていたのにね。

核兵器と言えば、それを持ってるのはイスラエルだよ。それは誰も問題にしない。。
ほんとに不思議な世界に我々は住んでいる。

で、ヘグセスはこう言った。
「われわれは、ハルマゲドン(世界の終末における善と悪の決戦)のための
 核兵器の開発を目指す狂信者どもと戦っている」
「私のキリスト教信仰は、兵士たちに物の見方を教える上で重要だ」

哲:ハルマゲドンのために戦ってるのはむしろアメリカのほうです。
ヘグセス国防長官は、福音派で、キリスト教ナショナリストにして
キリスト教シオニスト、キリスト教ドミニオニスト、、
「アメリカ軍はイエス・キリストのために戦っている」と言う。。
カトリックのローマ教皇レオ14世が、そうは思わないと反論。

Hegseth Says U.S. Troops Are Fighting for Jesus. The Pope Disagrees.
The New York Times April 4, 2026 https://nyti.ms/4caT1yl

猫:ヘグセスは、腕に「神がそれを望む」のタトゥーなら、胸にはエルサレム十字
口を開けば「アメリカ国民は、毎日ひざまづき、イエス・キリストの名において
中東における軍事的勝利を祈るように」。

キリストの名において戦勝祈願を国民に求める!?
無神論者や特定の宗教に帰依していない者や他の宗教の信者も、キリストに祈れというのか?!

ホワイトハウス報道官の発言に、ネットで批判相次ぐ「政教分離はどうなっているのか」
ハフィントンポスト 2026.4.2. https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_69cddc61e4b0332f12c1853e

ヘグセスは就任して国防総省で月例祈祷会を始めたけど、今年3月25日の礼拝では
「偉大で力強いイエス・キリストの名において、
慈悲に値しない者たちに
アメリカ軍が圧倒的な暴力を加えますように」と祈った。https://www.theguardian.com/us-news/2026/mar/26/hegseth-prayer-violence-pentagon

私は宗教2世で(母親がプロテスタントだった)
私自身は信者ではないけど多少はキリスト教のことを学んだ
(中学・高校はカトリック系の学校で過激な修道士と聖書や哲学の本を読んでいた)。しかし
私のキリスト教の理解では、人が人を「慈悲に値しないもの」などと裁いてはならないはずだよ。
神のみが人を裁くのだからね。
「圧倒的な暴力を加える」というのもおよそキリスト教らしからぬ。
圧倒的な暴力ならば人を殺すことにもなるし
実際アメリカは子供を含む一般市民を無数に殺している。
女子小学校にまでミサイルを撃ち込み死傷者多数。
しかも、トランプは当初、それはイラン人の攻撃だったと嘘をついた。
(あとで、古い地図を使ったための誤爆とアメリカ軍からの説明)。


人を殺してはならぬ、嘘をついてはならぬと、モーゼの十戒にもあるんじゃなかったのか。
トランプは石油を取りに(盗りに)ゆくと言うが、盗みまで犯して天国に行くつもりか。
それもまた十戒に背く。
福音派の教えでは私のような宗教のない日本人は地獄に堕ちることになっているようだが、
その一方で、人を殺しまくり嘘をつき富を独占しようとするアメリカ人は天国に行けるだなんて、
どう考えても身勝手過ぎるよ。

哲:キリストは、富める者が天国に行くのは、ラクダが針の穴を通るよりも難しい
と言ったんですよね。聖書によれば。

猫:ところがグラハム牧師はトランプにこう言ったのだそうだ。
「あなたは間違いなく天国に行くことになる。私が約束する」
そんなこと、牧師とは言え、約束できるものか。

平和をつくる者は幸いなり」…トランプ氏が公開した牧師の手紙
中央日報 2026.03.30, 2026.03.30 https://japanese.joins.com/JArticle/346878

グラハム牧師はこうも言っている。
「レオ教皇は間違っている。神様も、ヘグセス(国防長官)のように、
イエスの名において戦争を正当化されるのだ」

ヘグセスって神様と同格?
そんなことを言うグラハムって何様?

哲:牧師様です。同じグラハムでも福音派でも、父親のビリー・グラハム牧師は穏健でしたが。

猫:レーガンの頃の中絶や同性愛に反対していたテレビ伝道師とか宗教右派の時代から
ティーパーティ運動とかを経て、ついに今のアメリカは、
キリスト教ナショナリズム(アメリカは神から選ばれたキリスト教の国、特別の国)、
キリスト教ドミニオニズム(政治や軍事を含め社会のあらゆる領域をキリスト教が支配)、
キリスト教再建主義(聖書の律法に基づいてキリスト教の価値観で社会のあらゆる領域を再建)、キリスト教シオニズム(千年王国、最終戦争ハルマゲドンのため、キリストの再臨のためにイスラエルを助ける)、、
もう行くとこまで行ってますな。

哲:その全てを一手に引き受けたようなヘグセス国防長官。
彼こそ、そういったキリスト教福音派でも
最も先鋭的な考えを体現する政治家なんですよね。
ヘグセス長官が心酔しているのが改革派福音主義教会連盟(CREC)
ダグ・ウィルソン牧師。
奴隷制を擁護したり、女性の参政権を否定したり、、
最終的にキリスト教に基づく神権政治を目指している人物。

猫:だから、ヘグセスは軍からも女性兵士を排除したい、
ゲイを排除したい、黒人も嫌い、、リベラル的な考え方を目の敵にし
白人男性のキリスト教徒を優先させる。

哲:カトリックも毛嫌いしてるようです。復活祭の聖金曜日の礼拝を
プロテスタントだけでやってます。

猫:レビット報道官はホワイトハウスの記者会見場に姿を現して、
記者たちにこう言ったんだとか。
「皆さん、こんにちは。先ほどの私たちの『アーメン』が聞こえましたか? 」
もう、政教分離もくそもない政権になっているね。

哲:とにかく、ヘグセスが師と仰ぐのが、神権政治を目指している牧師ですから。
この牧師、民主主義や政教分離は人間中心主義だと言って否定する。
「神の主権」がすべてに優先。

猫:国防長官がこんなふうだから、当然の帰結というべきか、
イラン戦争でも指揮官らが「聖戦」を訓示するようになっている。

監視団体によるとアメリカ軍の兵士は
「イラン戦争は神の神聖な計画の一環」と説明を受けている 
英・ガーディアン紙 2026年3月3日
US troops were told war on Iran was ‘all part of God’s divine plan’, watchdog alleges
https://www.theguardian.com/world/2026/mar/03/us-israel-iran-war-christian-rhetoric

哲:兵士たちから文句が出てるんですね。
指揮官が「終末論的なキリスト教ファシズム」を押し付けている、、
宗教的な予言や終末論を引き合いに、イラン攻撃を正当化している、、
いわく、イランとの戦争は神によって予定されたものである、、
トランプ大統領はハルマゲドン(世界最終戦争)を招来するため
キリストによってこの世につかわされた人物である、、
などと言われた、、

兵士たちが何百人と相次いでこのような申し立てをしたそうです。
これを受け、民主党議員28名がヘグセス国防長官に対する調査を要求。

猫:今更、どんな調査をするというんだろうね。
トランプがヘグセスを国防長官に指名したとき、議会で徹底的に審査したはずなのに。

哲:このとき、上院は共和党が多数派(共和53、民主47)でしたが、
ヘグセスの承認には共和党の3人が反対に回って、50対50。
結局、ヴァンス副大統領が1票入れて、51対50でかろうじて承認されました。
経験不足、能力不足、問題行動(飲酒、女性)、女性兵士に反対、、
閣僚候補の議会承認に副大統領票が必要となるのは米国史上2回目。
前回は第1次トランプ政権の教育長官。

米上院、FOXニューズ元司会者ヘグセス氏を国防長官に承認 51対50の僅差
BBC 2025年1月25日 https://www.bbc.com/japanese/articles/cr46wy21463o

猫:記者会見でヘグセスを見た人は、こんな若造が?!と驚いたかもしれないね。
その軽薄とも思える早口で畳み掛けるテンションの高い話ぶり、俗っぽい感じ、、
髪をべっとりとポマードで撫で付け、、そこいらのお兄ちゃんみたい?
マッチョ気取り?
かと思うとやけに宗教じみた大仰な物の言いようだったり。
敵を散々コケにするし、自分たちの先達、前任者らをアホだバカだとことん悪く言うし、
トランプ大統領や自分ら、そして米軍がいかに優れているか、完璧か、ひたすら自画自賛。
何なんだこれ?!これまでの国防長官とは雰囲気があまりにもかけ離れている。

哲:ピート・ヘグセス国防長官。ま、トランプによれば「戦争長官」なんですが、
メディアではこれまでどおり「国防長官」「国防総省」ーー日本でも。
しかし、ヘグセス「戦争長官」。いかにもです。
みなさん、経歴とかその思想、主張を知ったら、もっと驚きますよ。

猫:名前も珍しい。これは北欧系ですかね。ヘグセス。
経歴も異例、トランプから国防長官に抜擢された。
それまでは保守系で有名なフォックス・ニューズの番組司会者。

哲:番組ではトランプ大統領を称賛しまくり。これが目に止まったんですね。
バイデンが当選した2020年の大統領選挙は不正選挙だとトランプが煽った議会襲撃事件も
ヘグセスは盛んに擁護しました。

猫:トランプ礼賛。過激なキリスト教右派。というか、極右だね。
軍からリベラルな考え、進歩的な方針、取り組みまで、一掃しようとしている。

兵士らはキリスト教戦士であるのが彼の理想。
軍からゲイも女も排除したい。女は男に従い、男が守るべきもの。

イスラエルを助けてキリストの再臨の準備をすべしというキリスト教シオニズム。
キリスト教が社会のあらゆる領域を支配すべしというキリスト教支配主義(ドミニオニズム)。
こういうものを軍に持ち込もうとしている。

イラン戦争が始まって、異例の言動がいよいよ注目される。
下手すると辞めさせられるのでは?

哲:そうですね。異例と言うより、異様と言うべきでしょうかね。

猫:一応、軍歴はあるんだよね。
プリンストン大学を出て、出身地ミネソタ(北欧系の移民が多い)の州兵として
キューバのグアンタナモ、イラク、アフガニスタンで従軍。最終的には少佐だった。

哲:州兵というのは災害とか暴動の鎮圧とかに当たるのが主な任務で、
海外派遣では連邦政府の管轄に移されますが、ヘグセスは海外で従軍したのは
3年くらいですよ。しかも少佐。
そんな人物が国防長官というのは、異例中の異例だと思います。

猫:軍を辞めたけど、それはタトゥーのことを内部告発されて、危険人物だと
バイデンの大統領就任式の警護の任を解かれ、嫌気がさしたのだそうだ。
そして異例の抜擢。2025年1月に第2次トランプ政権の「戦争長官」に就任。

そして早速、キリスト教ナショナリズムを政府に持ち込む。
長官に就任後、国防総省で月例祈祷会を始めた。

Pete Hegseth Leads Christian Prayer Service in the Pentagon 
The New York Times May 21, 2025 https://www.nytimes.com/2025/05/21/us/politics/pete-hegseth-prayer-pentagon.html

ホワイトハウスでは毎週の聖書勉強会にも熱心に参加してる。

国防総省(「戦争省」)の月例祈祷会には、ダグ・ウィルソンが出席することもある。
ヘグセスが師と仰ぐ極右キリスト教ナショナリストの牧師だ。

とにかくリベラルな価値観が大嫌い。

ウィルソン牧師は、奴隷制すら擁護。聖書で認められていると主張。
男女同権やLGBTに反対(同性愛は法律で罰すべき犯罪、死刑にという声すらある)。
家父長制(男性の支配、絶対的権威と女性の服従)を主張し、避妊や中絶に反対、
女性参政権にすら反対。

アメリカは神権政治(テオクラシー)にすべきと考えている。

そんなウィルソンに心酔しているヘグセス国防長官。

胸にエルサレム十字(十字軍の象徴)、腕にDeus Vult「神がそれを望む」(十字軍の合言葉)のタトゥー。白人至上主義者や極右団体も使う、いわくつきの意匠。
ヘグセスは出版した本のタイトルからして『American Crusade(アメリカの十字軍)』だし、
よほど十字軍が好きなんだね。

哲:ヘグセスの教会は改革派(カルバン派)で、
ウィルソン牧師が創設した改革派福音派教会連盟(CREC)系。
ごく少数派ですが、極端な保守。とにかく聖書や「神の意思」を重んじる。

猫:記者会見では、イランへの攻撃について
「空からの死と破壊が終日降り注ぐ」
「フェアな戦いをするつもりはない。相手が倒れていてもなお殴り続ける」
そんな戦いだ、そうあるべき、と言ったり、荒々しさが売り物。

記者を叱りつけたり、質問を鼻で笑ったり。威圧的、高圧的な会見スタイル。

すごいよね。酔った時「イスラム教徒を皆殺しにしろ!」と何度も叫んでたっていういから。

Pete Hegseth’s Secret History
The New Yorker December 1, 2024 https://www.newyorker.com/news/news-desk/pete-hegseths-secret-history

キリスト教に熱心な割には、問題行動が多い。
酒癖が悪い。女癖も悪い。不倫で離婚、再婚を繰り返し、今の奥さん何人目?子供が7人?

哲:なんじ姦淫するなかれ。モーゼの十戒、一体いくつ破ったら気が済むんだろう。
この陣営、姦淫は死刑と言っている人たちもいるというのに。 

猫:なのに彼らは千年王国を信じている。
つまりキリスト教徒が国をキリスト教に基づいて再建して
地上を神の律法で満たすとキリストが再臨すると考える。
そしてキリスト教の王国が千年続く。
だから再建主義者が進めようとする政治活動や社会改革は
イエス・キリストを迎えるための準備なんだ。 

哲:ウィルソン牧師やドミニオニズム、ヘグセス国防長官、福音派(エヴァンジェリカル)、
キリスト教ナショナリズム、キリスト教支配主義、キリスト教・シオニズム、再建主義、、、
それらがジグソーパズルのかけらのように組み合わさって、
今のアメリカで進められようとしているキリスト教による国家支配という
一つの大きなモザイクを構成しているのです。 

土台は福音派です。アメリカ人の4人に1人は福音派でトランプの支持基盤。

そして、キリスト教ナショナリズム。アメリカはキリスト教国として建国されたのであり
法律や文化もキリスト教の価値観に基づくべきと考える。

ドミニオニズム(支配主義)。政治、経済、メディア、教育など社会のあらゆる領域をキリスト教徒が支配しなければならない。

猫:現代社会を旧約聖書の律法に基づいて再建する。
それによってキリスト教的な統治(神権政治)を達成しようというんだね。 

哲:そういった過激な思想を広めているのが
ダグ・ウィルソン牧師にほかなりません。

教育にも力を入れている。
キリスト教に基づく「古典教育」。
そこから次の世代のアメリカの指導者を生み出し、
今の世俗的な指導者と入れ替える。
そういうことを狙っています。

猫:ヘグセスは、自分の子供にそういった教育を受けさせるために
わざわざにニュージャージー州からテネシー州にまで引っ越したんだそうだ。

そして国防長官になった今、そういった考えに基づいて早速アメリカ軍を
キリスト教の軍隊へ作り替えようとしている。 

哲:その「早速」と言うところがすごいんですよ。

猫:世俗的なリベラル派「ウォウク」を軍から排除するという強引な改革。
「ウォウク」(woke)、 一義的には「目覚めた」「覚醒した」だけど、
今のアメリカではリベラル派、左翼を馬鹿にして言うことば。
「左巻き」とでも訳そうか。

福音派という大きな畑に、キリスト教ナショナリズムという種をまき、
ダグ・ウィルソンのような人物がドミニオニズムの理論でそれを耕し、
再建主義の強烈な肥料でさらに成育を促し、それを
ヘグセスが軍で花咲かせて行こう、というわけだ。 

哲:彼が進めている人事や改革の内容を見ればそれが具体的によくわかります。

猫:そういうアメリカのキリスト教というのは、
ずっと遡るとアメリカにキリスト教原理主義(根本主義とも訳される)があって、
聖書の言葉を字句通りに解釈したりして時代があったかと思うと、
ずっと時代を下って、レーガンの時代くらいからですか、
福音派(エヴァンジェリカル)が政治運動に熱心になって
中絶反対とか同性愛反対とかを選挙で言い始め、
その頃からテレビ伝道師なんてのが台頭してきて、福音派の巨大な教会での礼拝とか、
私もアメリカにいた頃テレビで実況(なんじゃこりゃ?!)を見て知っていますが、
ドミニオニズムとかキリスト教ナショナリズムというのは
それ以降に表に出てきたものなんですね。

哲:そう。20世紀初めのキリスト教原理主義から長い道のり。
1970年代後半の福音派、モラル・マジョリティ、テレビ伝道師、宗教右派、
そして今世紀になってからのティーパーティーまでの変遷を経て、
ダグ・ウィルソンやヘグセスのドミニオニズムが急速に台頭してきた。

猫:FoxNewsの番組司会者だったヘグセスが熱烈なトランプ主義者だったばっかりに
トランプから抜擢されて国防長官。
そのヘグセスが師と仰いでいたのがダグ・ウィルソン。
彼らは今、国防総省に乗り込んで月例祈祷会、礼拝を行っている。
ついこないだまでテレビの番組司会者だった45歳のヘグセスが
今、アメリカ軍に対して宗教がかった前代未聞の大改革を強引に進めている。

哲:大統領がトランプでなかったら起きなかったことでしょうね。

猫:20世紀初頭のキリスト教原理主義というのは、
(「原理主義」というのは響きが悪いというので「根本主義」とも訳されるけど)
キリストの起こした奇跡とか、聖書に書かれていることを字句通りに解釈して、
進化論を教える公教育や近代化に反対して、
科学が進歩する中、遅れた人たちと見られる面があった。

哲:だから、自分たちの信仰を守るために世俗社会から引きこもる傾向があったんです。
聖書を字句通りに信じ、世の中が悪くなるのは「末世」だから仕方ない、
そう考える受け身的な態度だったのですよ。

しかし、福音派(エヴァンジェリカル)が政治運動化した1970年代後半からはーー 
レーガン政権の生みの親、福音派のテレビ伝道師ジェリー・ファルウェル牧師が始めたモラル・マジョリティ(道徳的多数派)という政治団体が象徴的ですがーー
中絶、同性愛、公立学校での祈りの廃止などに危機感を抱き始めて、
テレビ伝道師たちが「リベラルな社会からアメリカを取り戻そう」
と信者に投票を呼びかけたのです。

猫:教会でそれをやり始めたんだね。
選挙になるとどの候補者が中絶に反対か賛成かなど、リストにして教会で配布したり。
「宗教右派」と言われていた時代だね。
テレビ伝道師と言えば、もっと後の時代だけど、パット・ロバートソン牧師は、
ベネズエラのチャベス大統領を暗殺しろみたいなことを言っていたよね。
戦争するよりそのほうが「安上がり」だと。

哲:とんでも牧師が多いんだけど、選挙の投票を呼びかけていた頃は、
まだ民主主義のルールの中で、ということでした。当時の「宗教右派」 は。

それが今、キリスト教ナショナリズムやドミニオニズム、再建主義にまで来たのです。
国の隅々まで支配、国の統治のあり方までキリスト教にと、
従来の福音派と違って、民主主義の決まりよりも神の法、聖書法が優先されるのだと
堂々と主張し始めています。受け身ではなく、もはや攻撃です。

猫:まさにヘグセスの「我々はもはや防御する者ではない。我々は戦士だ」ですよ。

そして、神権政治を真剣に目指すところにまで来ちゃった。
ヘグセスが心酔するウィルソン牧師の団体、CRECなんて、
福音派の中でも極々少数派だけど、増えてきてはいる。
コロナ禍でウィルスに反対したりして。
そしてヘグセスの長官就任で政府に乗り込んできた。

哲:ドミニオニズム(支配主義)というのは
何十年も前から過激な神学者の間で議論されていたようですが、
SNSの普及とトランプの登場によって一気に表に出て来ました。
「社会の7つの山を支配せよ」。
「7つの山(領域)」とは宗教、家族、教育、政治、メディア、芸術、娯楽です。

キリスト教ナショナリズムというのは、アメリカへの愛国心が、
排他的なナショナリズムに変質しているのです。
「アメリカは神によって白人キリスト教徒に与えられた特別な国である。
 それが異教徒やリベラルによって支配されるのは不当な占領である」と。

ナショナリズム+ドミニオニズム=「政治を含め、世の中をすべて白人キリスト教徒が奪還し、
支配しなければならない、アメリカは神が選んだ特別の国」、ということですね。

猫:昔は「放っといてくれ」と言っていたんだけど、
今は「俺たちが命令する側だ」と言い出した。
ヘグセスを見てればそれがよく分かります。 

後編につづく)

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  1. 333985 より:

    无话可说,只是看看

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