(Photo: The Guardian)
エプスタインが日本を襲う(4)キリスト教ナショナリズム・ドミニオニズムのアメリカ
イランが期限(日本時間4月8日朝)までにホルムズ海峡の閉鎖を解かなければ
イランの全ての橋と発電所を破壊するとソーシャル・メディアで口汚く脅したトランプ。
(非軍事的標的への攻撃は戦争犯罪)
戦争犯罪を犯すことを自ら宣言する異常さにも驚くが、
その言葉遣いがあまりにも常軌を逸している。
「忌々しいこのクソ海峡を開放しやがれ、気狂いの馬鹿野郎ども。
さもなくば、地獄に堕ちろ。見てろよな!」
そして「アラーの神を讃えよ」とイスラム教への皮肉で締めくくった。
「忌々しいクソ」と訳したが、Fの字で始まるこの言葉、日本語には文字通りには訳しにくい。
「性交」を意味するのだ。公共の場では使うのが憚られる汚い言葉で、印刷媒体では通常、伏せ字を使うし、テレビなどで流れる時は、「プー!」と音を被せて聞こえなくされる。
それが、公共の場で言っていいことと悪いことの境界線という、アメリカ社会のしきたりだ。
(それがために、そういう言葉の汚さ、強烈さ、反社会性が薄れずに保たれるのでもあるが)。
bastardsという罵りも「馬鹿野郎」と訳したが、原文通りだと「私生児野郎」だ。
この大統領は、いろんな意味で一線を超えている。
戦争とはいえ、およそ国家元首が他の国に呼びかけるときに用いる言葉遣いではない。
しかも復活祭というキリストの復活を祝う、キリスト教にとって最も大切な時期にだ。
しかもトランプは自他共に許す「神から選ばれた指導者」で
アメリカというのは(イスラエルと共に)神から選ばれた特別の国、
だというのだから呆れた話だ。
“Tuesday will be Power Plant Day, and Bridge Day, all wrapped up in one, in Iran. There will be nothing like it!!! Open the Fucking Strait, you crazy bastards, or you’ll be living in Hell – JUST WATCH! Praise be to Allah,”
Trump threatens ‘hell’ for Iran over Hormuz Strait as deadline approaches
Al Jazeera 5 Apr 2026 https://www.aljazeera.com/news/2026/4/5/trump-threatens-hell-for-iran-over-hormuz-strait-as-deadline-approaches
イランのメディアによると、首都テヘラン郊外では7日、鉄道が空爆の標的となった。
北西部の幹線道路の橋や、イスラム教シーア派聖地の中部コムなどでも橋が空爆され、
すでにインフラ施設が攻撃を受けている。
これは「兵器の運搬に使われている」としてイスラエル軍が空爆したもの。
米、カーグ島軍事目標を攻撃 イラン各地で鉄道や橋も空爆
時事通信 2026年04月07日 https://www.jiji.com/jc/articlek=2026040701133
トランプが警告した「イランの全ての橋や発電所の破壊」の期限が迫る中、
イランの革命防衛隊は、攻撃されれば必ず報復する、
「米国とその同盟国が今後何年も地域の石油やガスを利用できないようにする」
と宣言。
かつてのイラン・イラク戦争ではお互いの都市を狙ってミサイルを撃ち合った。
イランの反撃予告は脅しではないだろう。
イランはまた橋や発電所の周りを人が手を繋いで囲む「人間の鎖」を作るよう国民に呼びかけた。
それでもトランプは
「イランが本来いるべき石器時代に戻してやる」
「天から地獄が降り注ぐ」
という空爆を命じるのか。
固唾を飲んだが、結局イラン側が停戦協議を受け入れ、2週間、交渉することになり、
トランプの言う「地獄」だの「一つの文明が滅びる」だの
といった事態には至らなかった。
私は川べりでタンポポと遊んだあと藤崎宮前行きの菊池電車で
例の図書館カフェに向かった。
案の定、哲っちゃんが来ていた。
のら猫寛兵衛:とりあえず「地獄」は回避されたようだね。
なんかもう宗教戦争だね。神を冒涜するような大統領だけど。
ネタニヤフも政権内にユダヤ教の宗教政党がいるし、対するイランはイスラム教の神権政治。
曽倉 哲:そして実はアメリカにも神権政治を目指す勢力がいる。キリスト教で。
それがなんとピート・ヘグセス国防長官と強い絆でつながっているんですよ。
それにしても、本格的に停戦交渉する間は停戦ーー
と言いながら、イスラエルはレバノンを攻撃してる。
いよいよ「大イスラエル構想」を実行するつもりか。
旧約聖書の創世記で神がアブラハムの子孫に約束した
「エジプトの川から大河ユーフラテスまで」。
猫:そうなんだよ。しかも、イスラエル、これを名付けて「永遠の闇」作戦。
過越の祭りが近い時期だし、旧約聖書(ユダヤ教でも聖典)の出エジプト記に出てくる
「暗闇の災い」のことかもしれないけど(エジプト全土が三日間、闇に包まれた)、
レバノンの三人に一人はキリスト教徒ということで、あてつけに
あえて新約聖書(ユダヤ人にとって聖典ではない)から「地獄」を意味する表現を使った
のかもしれない。
「ハルマゲドン」に十字軍、宗教色強まるイラン戦争
AFP 2026年4月4日 https://www.afpbb.com/articles/-/3629940
哲:もはや宗教戦争だね。アメリカはホワイトハウスでもペンタゴン(国防総省)でも
キリスト教の牧師が来て戦勝祈願みたいなことをするようになった。
トランプは神がつかわしたことになっている。
猫:なにしろヘグセス、腕に「Deus Vult(神がそれを望む)」と刺青してる。
これは11世紀末の第1次十字軍の合言葉だった。
十字軍の戦士たちは、イスラム勢力からイェルサレムを奪還するんだと
「神がそれを望む!」と雄叫びを上げて、聖地へと旅立ったんだね。
哲:ヘグセス国防長官、聖地エルサレムをイスラム教徒から奪還という
十字軍の戦士気取りもいいとこ。
著書の最後もその「戦士」という言葉で結んでいるらしいです。
その言葉も好んで使います。
記者会見でも「我々はもはやdefenders(国防の兵士)ではない、
warriers(戦士)だ」と言っている。
でも「イラン戦争」とは言わない。
戦争と言えば、議会の承認が必要という国内法があるので、避けているんですよ。
しかしヘグセス長官、胸にはエルサレム十字のタトゥーですからね。
これも聖地奪還の十字軍を象徴するもの。
いかにも、聖地奪還、イランとの戦争、「神はそれを望む」と言わんばかりです。
猫:トランプが国防総省(Department of Defense)を
「戦争省」(Department of War)に改名したのも
ヘグセスの影響かと思えてくる。

ヘグセスは自称「古典的戦闘的クリスチャン(Classical Millitant Christian)」。
自分の子供達にもそうなるための教育を受けさせようと
ニュージャージー州からテネシー州にわざわざ引っ越している。
復活祭の「聖週間」に、大統領執務室で、
フランクリン・グラハム牧師(福音派でビリー・グラハム師の息子)はこう祈った。
「きょう、イラン人、この邪悪な政権は、すべてのユダヤ人を殺し、核の炎で滅ぼそうとしています。しかし、主はトランプ大統領を立ち上がらせになられました。このような時のために彼を立ち上がらせたのです。父なる神よ、彼に勝利を与えたまえ」
私はトランプが「立ち上がった」のはエプスタイン事件から逃げるためだと思ってるがね。
「核の炎」ってグラハム牧師は言うが、イランは核兵器持ってないからね。
哲:イランはNPT(核不拡散条約)の加盟国として、核兵器は持たないと宣言しているし、
NPTによればウランの一定程度の濃縮はイランの「奪いえない権利」。
猫:イランは核兵器開発の意志もないと言っているのに、イスラエルのネタニヤフ首相は
もう何十年と「イランはあと6ヶ月で核兵器を手にする」と言い続け
イランをやれ、イランをやれとアメリカに迫り続けてきた。
トランプ自身、去年、イランの核を木っ端微塵に粉砕したと言っていたのにね。
核兵器と言えば、それを持ってるのはイスラエルだよ。それは誰も問題にしない。。
ほんとに不思議な世界に我々は住んでいる。
で、ヘグセスはこう言った。
「われわれは、ハルマゲドン(世界の終末における善と悪の決戦)のための
核兵器の開発を目指す狂信者どもと戦っている」
「私のキリスト教信仰は、兵士たちに物の見方を教える上で重要だ」
哲:ハルマゲドンのために戦ってるのはむしろアメリカのほうです。
ヘグセス国防長官は、福音派で、キリスト教ナショナリストにして
キリスト教シオニスト、キリスト教ドミニオニスト、、
「アメリカ軍はイエス・キリストのために戦っている」と言う。。
カトリックのローマ教皇レオ14世が、そうは思わないと反論。
Hegseth Says U.S. Troops Are Fighting for Jesus. The Pope Disagrees.
The New York Times April 4, 2026 https://nyti.ms/4caT1yl
猫:ヘグセスは、腕に「神がそれを望む」のタトゥーなら、胸にはエルサレム十字。
口を開けば「アメリカ国民は、毎日ひざまづき、イエス・キリストの名において
中東における軍事的勝利を祈るように」。
キリストの名において戦勝祈願を国民に求める!?
無神論者や特定の宗教に帰依していない者や他の宗教の信者も、キリストに祈れというのか?!
ホワイトハウス報道官の発言に、ネットで批判相次ぐ「政教分離はどうなっているのか」
ハフィントンポスト 2026.4.2. https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_69cddc61e4b0332f12c1853e
ヘグセスは就任して国防総省で月例祈祷会を始めたけど、今年3月25日の礼拝では
「偉大で力強いイエス・キリストの名において、
慈悲に値しない者たちにアメリカ軍が圧倒的な暴力を加えますように」と祈った。https://www.theguardian.com/us-news/2026/mar/26/hegseth-prayer-violence-pentagon
私は宗教2世で(母親がプロテスタントだった)
私自身は信者ではないけど多少はキリスト教のことを学んだ
(中学・高校はカトリック系の学校で過激な修道士と聖書や哲学の本を読んでいた)。しかし
私のキリスト教の理解では、人が人を「慈悲に値しないもの」などと裁いてはならないはずだよ。
神のみが人を裁くのだからね。
「圧倒的な暴力を加える」というのもおよそキリスト教らしからぬ。
圧倒的な暴力ならば人を殺すことにもなるし
実際アメリカは子供を含む一般市民を無数に殺している。
女子小学校にまでミサイルを撃ち込み死傷者多数。
しかも、トランプは当初、それはイラン人の攻撃だったと嘘をついた。
(あとで、古い地図を使ったための誤爆とアメリカ軍からの説明)。
人を殺してはならぬ、嘘をついてはならぬと、モーゼの十戒にもあるんじゃなかったのか。
トランプは石油を取りに(盗りに)ゆくと言うが、盗みまで犯して天国に行くつもりか。
それもまた十戒に背く。
福音派の教えでは私のような宗教のない日本人は地獄に堕ちることになっているようだが、
その一方で、人を殺しまくり嘘をつき富を独占しようとするアメリカ人は天国に行けるだなんて、
どう考えても身勝手過ぎるよ。
哲:キリストは、富める者が天国に行くのは、ラクダが針の穴を通るよりも難しい
と言ったんですよね。聖書によれば。
猫:ところがグラハム牧師はトランプにこう言ったのだそうだ。
「あなたは間違いなく天国に行くことになる。私が約束する」
そんなこと、牧師とは言え、約束できるものか。
「平和をつくる者は幸いなり」…トランプ氏が公開した牧師の手紙
中央日報 2026.03.30, 2026.03.30 https://japanese.joins.com/JArticle/346878
グラハム牧師はこうも言っている。
「レオ教皇は間違っている。神様も、ヘグセス(国防長官)のように、
イエスの名において戦争を正当化されるのだ」
ヘグセスって神様と同格?
そんなことを言うグラハムって何様?
哲:牧師様です。同じグラハムでも福音派でも、父親のビリー・グラハム牧師は穏健でしたが。
猫:レーガンの頃の中絶や同性愛に反対していたテレビ伝道師とか宗教右派の時代から
ティーパーティ運動とかを経て、ついに今のアメリカは、
キリスト教ナショナリズム(アメリカは神から選ばれたキリスト教の国、特別の国)、
キリスト教ドミニオニズム(政治や軍事を含め社会のあらゆる領域をキリスト教が支配)、
キリスト教再建主義(聖書の律法に基づいてキリスト教の価値観で社会のあらゆる領域を再建)、キリスト教シオニズム(千年王国、最終戦争ハルマゲドンのため、キリストの再臨のためにイスラエルを助ける)、、
もう行くとこまで行ってますな。
哲:その全てを一手に引き受けたようなヘグセス国防長官。
彼こそ、そういったキリスト教福音派でも
最も先鋭的な考えを体現する政治家なんですよね。
ヘグセス長官が心酔しているのが改革派福音主義教会連盟(CREC)の
ダグ・ウィルソン牧師。
奴隷制を擁護したり、女性の参政権を否定したり、、
最終的にキリスト教に基づく神権政治を目指している人物。
猫:だから、ヘグセスは軍からも女性兵士を排除したい、
ゲイを排除したい、黒人も嫌い、、リベラル的な考え方を目の敵にし
白人男性のキリスト教徒を優先させる。
哲:カトリックも毛嫌いしてるようです。復活祭の聖金曜日の礼拝を
プロテスタントだけでやってます。
猫:レビット報道官はホワイトハウスの記者会見場に姿を現して、
記者たちにこう言ったんだとか。
「皆さん、こんにちは。先ほどの私たちの『アーメン』が聞こえましたか? 」
もう、政教分離もくそもない政権になっているね。
哲:とにかく、ヘグセスが師と仰ぐのが、神権政治を目指している牧師ですから。
この牧師、民主主義や政教分離は人間中心主義だと言って否定する。
「神の主権」がすべてに優先。
猫:国防長官がこんなふうだから、当然の帰結というべきか、
イラン戦争でも指揮官らが「聖戦」を訓示するようになっている。
監視団体によるとアメリカ軍の兵士は
「イラン戦争は神の神聖な計画の一環」と説明を受けている
英・ガーディアン紙 2026年3月3日
US troops were told war on Iran was ‘all part of God’s divine plan’, watchdog alleges
https://www.theguardian.com/world/2026/mar/03/us-israel-iran-war-christian-rhetoric
哲:兵士たちから文句が出てるんですね。
指揮官が「終末論的なキリスト教ファシズム」を押し付けている、、
宗教的な予言や終末論を引き合いに、イラン攻撃を正当化している、、
いわく、イランとの戦争は神によって予定されたものである、、
トランプ大統領はハルマゲドン(世界最終戦争)を招来するために
キリストによってこの世につかわされた人物である、、
などと言われた、、
兵士たちが何百人と相次いでこのような申し立てをしたそうです。
これを受け、民主党議員28名がヘグセス国防長官に対する調査を要求。
猫:今更、どんな調査をするというんだろうね。
トランプがヘグセスを国防長官に指名したとき、議会で徹底的に審査したはずなのに。
哲:このとき、上院は共和党が多数派(共和53、民主47)でしたが、
ヘグセスの承認には共和党の3人が反対に回って、50対50。
結局、ヴァンス副大統領が1票入れて、51対50でかろうじて承認されました。
経験不足、能力不足、問題行動(飲酒、女性)、女性兵士に反対、、
閣僚候補の議会承認に副大統領票が必要となるのは米国史上2回目。
前回は第1次トランプ政権の教育長官。
米上院、FOXニューズ元司会者ヘグセス氏を国防長官に承認 51対50の僅差
BBC 2025年1月25日 https://www.bbc.com/japanese/articles/cr46wy21463o

猫:記者会見でヘグセスを見た人は、こんな若造が?!と驚いたかもしれないね。
その軽薄とも思える早口で畳み掛けるテンションの高い話ぶり、俗っぽい感じ、、
髪をべっとりとポマードで撫で付け、、そこいらのお兄ちゃんみたい?
マッチョ気取り?
かと思うとやけに宗教じみた大仰な物の言いようだったり。
敵を散々コケにするし、自分たちの先達、前任者らをアホだバカだとことん悪く言うし、
トランプ大統領や自分ら、そして米軍がいかに優れているか、完璧か、ひたすら自画自賛。
何なんだこれ?!これまでの国防長官とは雰囲気があまりにもかけ離れている。
哲:ピート・ヘグセス国防長官。ま、トランプによれば「戦争長官」なんですが、
メディアではこれまでどおり「国防長官」「国防総省」ーー日本でも。
しかし、ヘグセス「戦争長官」。いかにもです。
みなさん、経歴とかその思想、主張を知ったら、もっと驚きますよ。
猫:名前も珍しい。これは北欧系ですかね。ヘグセス。
経歴も異例、トランプから国防長官に抜擢された。
それまでは保守系で有名なフォックス・ニューズの番組司会者。
哲:番組ではトランプ大統領を称賛しまくり。これが目に止まったんですね。
バイデンが当選した2020年の大統領選挙は不正選挙だとトランプが煽った議会襲撃事件も
ヘグセスは盛んに擁護しました。
猫:トランプ礼賛。過激なキリスト教右派。というか、極右だね。
軍からリベラルな考え、進歩的な方針、取り組みまで、一掃しようとしている。
兵士らはキリスト教戦士であるのが彼の理想。
軍からゲイも女も排除したい。女は男に従い、男が守るべきもの。
イスラエルを助けてキリストの再臨の準備をすべしというキリスト教シオニズム。
キリスト教が社会のあらゆる領域を支配すべしというキリスト教支配主義(ドミニオニズム)。
こういうものを軍に持ち込もうとしている。
イラン戦争が始まって、異例の言動がいよいよ注目される。
下手すると辞めさせられるのでは?
哲:そうですね。異例と言うより、異様と言うべきでしょうかね。
猫:一応、軍歴はあるんだよね。
プリンストン大学を出て、出身地ミネソタ(北欧系の移民が多い)の州兵として
キューバのグアンタナモ、イラク、アフガニスタンで従軍。最終的には少佐だった。
哲:州兵というのは災害とか暴動の鎮圧とかに当たるのが主な任務で、
海外派遣では連邦政府の管轄に移されますが、ヘグセスは海外で従軍したのは
3年くらいですよ。しかも少佐。
そんな人物が国防長官というのは、異例中の異例だと思います。
猫:軍を辞めたけど、それはタトゥーのことを内部告発されて、危険人物だと
バイデンの大統領就任式の警護の任を解かれ、嫌気がさしたのだそうだ。
そして異例の抜擢。2025年1月に第2次トランプ政権の「戦争長官」に就任。
そして早速、キリスト教ナショナリズムを政府に持ち込む。
長官に就任後、国防総省で月例祈祷会を始めた。
Pete Hegseth Leads Christian Prayer Service in the Pentagon
The New York Times May 21, 2025 https://www.nytimes.com/2025/05/21/us/politics/pete-hegseth-prayer-pentagon.html
ホワイトハウスでは毎週の聖書勉強会にも熱心に参加してる。
国防総省(「戦争省」)の月例祈祷会には、ダグ・ウィルソンが出席することもある。
ヘグセスが師と仰ぐ極右キリスト教ナショナリストの牧師だ。
とにかくリベラルな価値観が大嫌い。
ウィルソン牧師は、奴隷制すら擁護。聖書で認められていると主張。
男女同権やLGBTに反対(同性愛は法律で罰すべき犯罪、死刑にという声すらある)。
家父長制(男性の支配、絶対的権威と女性の服従)を主張し、避妊や中絶に反対、
女性参政権にすら反対。
アメリカは神権政治(テオクラシー)にすべきと考えている。
そんなウィルソンに心酔しているヘグセス国防長官。

胸にエルサレム十字(十字軍の象徴)、腕にDeus Vult「神がそれを望む」(十字軍の合言葉)のタトゥー。白人至上主義者や極右団体も使う、いわくつきの意匠。
ヘグセスは出版した本のタイトルからして『American Crusade(アメリカの十字軍)』だし、
よほど十字軍が好きなんだね。
哲:ヘグセスの教会は改革派(カルバン派)で、
ウィルソン牧師が創設した改革派福音派教会連盟(CREC)系。
ごく少数派ですが、極端な保守。とにかく聖書や「神の意思」を重んじる。
猫:記者会見では、イランへの攻撃について
「空からの死と破壊が終日降り注ぐ」
「フェアな戦いをするつもりはない。相手が倒れていてもなお殴り続ける」
そんな戦いだ、そうあるべき、と言ったり、荒々しさが売り物。
記者を叱りつけたり、質問を鼻で笑ったり。威圧的、高圧的な会見スタイル。
すごいよね。酔った時「イスラム教徒を皆殺しにしろ!」と何度も叫んでたっていういから。
Pete Hegseth’s Secret History
The New Yorker December 1, 2024 https://www.newyorker.com/news/news-desk/pete-hegseths-secret-history
キリスト教に熱心な割には、問題行動が多い。
酒癖が悪い。女癖も悪い。不倫で離婚、再婚を繰り返し、今の奥さん何人目?子供が7人?
哲:なんじ姦淫するなかれ。モーゼの十戒、一体いくつ破ったら気が済むんだろう。
この陣営、姦淫は死刑と言っている人たちもいるというのに。
猫:なのに彼らは千年王国を信じている。
つまりキリスト教徒が国をキリスト教に基づいて再建して
地上を神の律法で満たすとキリストが再臨すると考える。
そしてキリスト教の王国が千年続く。
だから再建主義者が進めようとする政治活動や社会改革は
イエス・キリストを迎えるための準備なんだ。
哲:ウィルソン牧師やドミニオニズム、ヘグセス国防長官、福音派(エヴァンジェリカル)、
キリスト教ナショナリズム、キリスト教支配主義、キリスト教・シオニズム、再建主義、、、
それらがジグソーパズルのかけらのように組み合わさって、
今のアメリカで進められようとしているキリスト教による国家支配という
一つの大きなモザイクを構成しているのです。
土台は福音派です。アメリカ人の4人に1人は福音派でトランプの支持基盤。
そして、キリスト教ナショナリズム。アメリカはキリスト教国として建国されたのであり
法律や文化もキリスト教の価値観に基づくべきと考える。
ドミニオニズム(支配主義)。政治、経済、メディア、教育など社会のあらゆる領域をキリスト教徒が支配しなければならない。
猫:現代社会を旧約聖書の律法に基づいて再建する。
それによってキリスト教的な統治(神権政治)を達成しようというんだね。
哲:そういった過激な思想を広めているのが
ダグ・ウィルソン牧師にほかなりません。
教育にも力を入れている。
キリスト教に基づく「古典教育」。
そこから次の世代のアメリカの指導者を生み出し、
今の世俗的な指導者と入れ替える。
そういうことを狙っています。
猫:ヘグセスは、自分の子供にそういった教育を受けさせるために
わざわざにニュージャージー州からテネシー州にまで引っ越したんだそうだ。
そして国防長官になった今、そういった考えに基づいて早速アメリカ軍を
キリスト教の軍隊へ作り替えようとしている。
哲:その「早速」と言うところがすごいんですよ。ヘグセスはドミニオニズムの「戦士」です。
猫:世俗的なリベラル派「ウォウク」を軍から排除するという
強引な改革を進めている。
「ウォウク」(woke)、 一義的には「目覚めた」「覚醒した」だけど、
今のアメリカではリベラル派、左翼を馬鹿にして言うことば。
「左巻き」とでも訳そうか。
福音派という大きな畑に、キリスト教ナショナリズムという種をまき、
ダグ・ウィルソンのような人物がドミニオニズムの理論でそれを耕し、
再建主義の強烈な肥料でさらに成育を促し、それを
ヘグセスが軍で花咲かせて行こう、というわけだ。
哲:彼が進めている人事や改革の内容を見ればそれが具体的によくわかります。
猫:そういうアメリカのキリスト教というのは、
ずっと遡るとアメリカにキリスト教原理主義(根本主義とも訳される)があって、
聖書の言葉を字句通りに解釈したりして時代があったかと思うと、
ずっと時代を下って、レーガンの時代くらいからですか、
福音派(エヴァンジェリカル)が政治運動に熱心になって
中絶反対とか同性愛反対とかを選挙で言い始め、
その頃からテレビ伝道師なんてのが台頭してきて、福音派の巨大な教会での礼拝とか、
私もアメリカにいた頃テレビで実況(なんじゃこりゃ?!)を見て知っていますが、
ドミニオニズムとかキリスト教ナショナリズムというのは
それ以降に表に出てきたものなんですね。
哲:そう。20世紀初めのキリスト教原理主義から長い道のり。
1970年代後半の福音派、モラル・マジョリティ、テレビ伝道師、宗教右派、
そして今世紀になってからのティーパーティーまでの変遷を経て、
ダグ・ウィルソンやヘグセスのドミニオニズムが急速に台頭してきた。
猫:FoxNewsの番組司会者だったヘグセスが熱烈なトランプ主義者だったばっかりに
トランプから抜擢されて国防長官。
そのヘグセスが師と仰いでいたのがダグ・ウィルソン。
彼らは今、国防総省に乗り込んで月例祈祷会、礼拝を行っている。
ついこないだまでテレビの番組司会者だった45歳のヘグセスが
今、アメリカ軍に対して宗教がかった前代未聞の大改革を強引に進めている。
哲:大統領がトランプでなかったら起きなかったことでしょうね。
猫:20世紀初頭のキリスト教原理主義というのは、
(「原理主義」というのは響きが悪いというので「根本主義」とも訳されるけど)
キリストの起こした奇跡とか、聖書に書かれていることを字句通りに解釈して、
進化論を教える公教育や近代化に反対して、
科学が進歩する中、遅れた人たちと見られる面があった。
哲:だから、自分たちの信仰を守るために世俗社会から引きこもる傾向があったんです。
聖書を字句通りに信じ、世の中が悪くなるのは「末世」だから仕方ない、
そう考える受け身的な態度だったのですよ。
しかし、福音派(エヴァンジェリカル)が政治運動化した1970年代後半からはーー
レーガン政権の生みの親、福音派のテレビ伝道師ジェリー・ファルウェル牧師が始めたモラル・マジョリティ(道徳的多数派)という政治団体が象徴的ですがーー
中絶、同性愛、公立学校での祈りの廃止などに危機感を抱き始めて、
テレビ伝道師たちが「リベラルな社会からアメリカを取り戻そう」
と信者に投票を呼びかけたのです。
猫:教会でそれをやり始めたんだね。
選挙になるとどの候補者が中絶に反対か賛成かなど、リストにして教会で配布したり。
「宗教右派」と言われていた時代だね。
テレビ伝道師と言えば、もっと後の時代だけど、パット・ロバートソン牧師は、
ベネズエラのチャベス大統領を暗殺しろみたいなことを言っていたよね。
戦争するよりそのほうが「安上がり」だと。
哲:とんでも牧師が多いんだけど、選挙の投票を呼びかけていた頃は、
まだ民主主義のルールの中で、ということでした。当時の「宗教右派」 は。
それが今、キリスト教ナショナリズムやドミニオニズム、再建主義にまで来たのです。
国の隅々まで支配、国の統治のあり方までキリスト教にと、
従来の福音派と違って、民主主義の決まりよりも神の法、聖書法が優先されるのだと
堂々と主張し始めています。受け身ではなく、もはや攻撃です。
猫:まさにヘグセスの「我々はもはや防御する者ではない。我々は戦士だ」ですよ。
そして、神権政治を真剣に目指すところにまで来ちゃった。
ヘグセスが心酔するウィルソン牧師の団体、CRECなんて、
福音派の中でも極々少数派だけど、増えてきてはいる。
コロナ禍でウィルスに反対したりして。
そしてヘグセスの長官就任で政府に乗り込んできた。
哲:ドミニオニズム(支配主義)というのは
何十年も前から過激な神学者の間で議論されていたようですが、
SNSの普及とトランプの登場によって一気に表に出て来ました。
「社会の7つの山を支配せよ」。
「7つの山(領域)」とは宗教、家族、教育、政治、メディア、芸術、娯楽です。
キリスト教ナショナリズムというのは、アメリカへの愛国心が、
排他的なナショナリズムに変質しているのです。
「アメリカは神によって白人キリスト教徒に与えられた特別な国である。
それが異教徒やリベラルによって支配されるのは不当な占領である」と。
ナショナリズム+ドミニオニズム=「政治を含め、世の中をすべて白人キリスト教徒が奪還し、
支配しなければならない、アメリカは神が選んだ特別の国」、ということですね。
猫:昔は「放っといてくれ」と言っていたんだけど、
今は「俺たちが命令する側だ」と言い出した。
ヘグセスを見てればそれがよく分かります。
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‘A very dangerous person’: alarm as Pete Hegseth revels in carnage of Iran war
The Guardian 8 Mar 2026 https://www.theguardian.com/us-news/2026/mar/08/pete-hegseth-pentagon-trump-iran
哲:ヘグセス長官はローマのコンスタンティヌス大帝にたとえられています。
猫:コンスタンティンヌスは、戦いの前に「この印の下に勝利せよ」というお告げを聞き、
盾に十字架を描いて勝利した。
キリスト教の神を味方につけて勝ったということだね。政教一致。
哲:盾に十字架あるいはPとX(=キリスト)を掲げて戦えば勝てるという
神の啓示を受けたとされます。
ヘグセス長官も記者会見や国防総省の祈祷会、礼拝で、イランとの戦争を
「神の計画」「ハルマゲドン」として正当化してるかのような言動。
その姿は、まさにコンスタンティヌスの再来です。
猫:ヘグセスの教会、改革派、カルバン派は、神の意思を重視するんだよね。予定説。
神が我々の側についているから勝つ。実際そういう意味のことを
記者会見で言ってるもんね。
哲:そして、それは、イエスの教え(平和、隣人愛)ではなく、
帝国の領土を広げ、敵を殲滅するための帝国の宗教、
征服のためのキリスト教、ということなんですね。
ヘグセス長官のエルサレム十字のタトゥーも、
まさにこの征服者のキリスト教を象徴してますよ。
猫:そういうのを踏まえると気になるのが、、
先日のアメリカのハッカビー・駐イスラエル大使の発言。
「< 神が、神の選んだ民族に、アブラハムを通じて、与えた土地だ、
聖書の創世記に基づけばそうだ> と言うのなら、
(パレスチナだけでなく)ナイル川からユーフラティス川までということになる。
イスラエルには中東全域に対する権利があると言うのか?!」と聞かれ、、
(2026年2月公開のインタビュー、聞いたのはタッカー・カールソン、
元FoxNewsの看板キャスター、
かつては熱烈なトランプ支持者だったが、今やトランプやイラン戦争批判の急先鋒、、)
ハッカビーは「全部(イスラエルに)取ってもらっても結構だ」と答えている。
その動画を見て私もびっくりしたよ。
哲:マイク・ハッカビー・駐イスラエル・アメリカ大使は
元アーカンソー州知事(1996–2007年)で、
南部バプテスト連盟の牧師でもあります。福音派です。
2008年と2016年の共和党大統領候補指名争いに出馬し、指名獲得はならなかったものの、
2008年には、保守層から強い支持を得て2位につけました。
Fox Newsにも『Huckabee』という番組を持っていましたし、
娘はトランプ政権の報道官だったことがあります。
現アーカンソー州知事のサラ・ハッカビー・サンダースです。
猫:ハッカビーの、聖書(創世記15章)に基づいて、
< 神がアブラハムの子孫に約束した土地は
エジプトの川(ナイル川)から大河ユーフラティスに至るまで>
というのは、まさにクリスチャン・シオニズムの立場だね。
カールソンから
「(聖書通りなら)中東のほぼ全域が含まれるが、
イスラエルがそこを領有しても良いのか」
と問われ、
「彼ら(イスラエル)がそのすべてを取ったとしても、構わない
(It would be fine if they took it all)」
哲:ハッカビー大使は以前からパレスチナ国家の存在(二国家解決案)を否定し、
ヨルダン川西岸地区を聖書通り「ユダヤ・サマリア」と呼び、
イスラエルによる併合を支持してきた確信犯的な親イスラエル派、
クリスチャン・シオニストです。
この発言はエジプト、ヨルダン、サウジアラビアなど周辺諸国から
猛烈な抗議を受けました。
ヘグセスも、ハッカビーも、聖書に基づく外交や軍事なんです。
クリスチャン・シオニズムとは要するに、ユダヤ人のシオニズムを支援するキリスト教、
つまり、ユダヤ人が聖書の約束の地(エレツ・イスラエル)に戻ってーー
猫:というそれは、元祖シオニスト、ユダヤ人のシオニズムだねーー
哲:うんーーそして、ユダヤ人が約束の地に戻って国家を再建することは、
神の計画の成就であるとして、政治的・財政的にキリスト教徒が支援するというもの。
クリスチャン・シオニズム。
で、なぜ「中東全域がイスラエル領でも構わない」などと言うのかというと
それがイエス再臨の条件のように、聖書のヨハネの黙示録に書かれているからです。
それを読んで、ユダヤ人がパレスチナの地に帰り、エルサレムを統治することが、
イエス・キリストが再び地上に現れるための条件であると信じているんです。

猫:「大イスラエル」の構想。それも神の意思というわけだ。
自分勝手というか、麻生太郎じゃないが「何、調子のいいこと言ってんだよ」
だね。というか、怖いよね。何でも神の意思にしてしまう。
ヘグセスの始めた国防総省の月例礼拝、
その第1回目で説教したのは彼の教会の牧師なんだけど、こんなことを言った。
< もし主が、一羽の雀が地に落ちることさえ支配しておられるのなら
(これはマタイによる福音書第10章に出てくる話)
あなたたちは確信してよい:
主はこの世界に落ちる他のすべてのものも支配しておられる、
トマホークやミニットマン・ミサイルを含めて >
これはまるで、その数ヶ月後、アメリカ軍のミサイルが女子小学校を直撃して
多数の死傷者を出したのも、神の思し召しと言っているようで、怖いんだよ。
哲:ハッカビー氏が言及した「ナイル川から大河ユーフラティスに至るまで」というのは、
聖書の創世記の15章18節に基づいています。
「エジプトの川(ナイル)から大河ユーフラティスまでを
あなたの子孫に与える」
神がそう約束しているのです。
旧約聖書・創世記15章18-21節:「その日、主はアブラムと契約を結んで言われた。
『あなたの子孫にこの土地を与える。エジプトの川から大河ユーフラテスに至るまで、
カイン人、ケナズ人、カドモニ人、 ヘト人、ペリジ人、レファイム人、
アモリ人、カナン人、ギルガシ人、エブス人の土地を与える。』(新共同訳)

猫:まさにキリスト教支配主義。
キリスト教の聖典・旧約聖書(ユダヤ教にとっても聖典)が、現世の法律より優先される。
国際法もへったくれもない。
この考えで行くと、今のイスラエルだけでなく、
ヨルダン、レバノン、シリア、そしてイラクやサウジアラビアの一部も
イスラエルのものということになってしまう。
哲:クリスチャン・シオニズムは信仰と政治(地政学)が完全に融合しています。
ハッカビー大使やヘグセス長官はそういう、聖書に基づく世界改造を、
本気でやろうとしているんです。
その点がこれまでの政治家との決定的な違いですね。
猫:そうなるとハッカビーの「全部取っても構わない」は本音だね。確信犯。
哲:ヘグセス長官の教会は、ウィルソン牧師創設・改革派福音派教会連盟(CREC)系の
テネシーの教会。ピルグリム・ヒル・リフォームド・フェローシップ。改革派です。
福音派か主流派かというアメリカのプロテスタントの2大分類ではもちろん
福音派です。
猫:教育に力を入れるよね。自分たちの独自のキリスト教的な教育。
それによって次世代のアメリカの指導者層、支配者層を育てる、みたいな、
いかにも支配主義、再建主義の。
哲:ヘグセス長官がウィルソン牧師のCRECに出会ったのも
実は教育を通じてなんです。
公立学校は世俗的で、ジェンダーなど、リベラルな有害な思想におかされているとして、
自分の子供に受けさせるキリスト教教育を探しているうちに
CRECのやってる古典的キリスト教教育というのを探し当て、
わざわざニュージャージー州からテネシー州に引っ越し、
それがCRECやテネシーの教会との出会いだったのです。
男の子には将来の保護者・統治者としての強さと自覚、責任を、
女の子には将来の家庭の守り手としての美徳と技能を教えるなど、
カリキュラムの根底にあるのが、性の違いです。
特に男の子に対しては、ヘグセス氏のタトゥーが象徴するような
信仰のために戦う「キリストの戦士」としての自覚を促します。
カリキュラムは、古典的教育(トリウィウム:文法・論理・修辞)」を重視した
キリスト教的世界観に基づいたものです。
猫:すごいね。中世の教育か?!
トリウィウムというのは「三教科」という意味だけど、
現代英語でtriviaというと「雑学」だし
trivialは「些細な」「取るに足らない」の意。
随分と、格下げになったものだ(笑)。
哲:いずれにせよ、そういう学校の運営も、
世界をキリスト教的なものに作り変えるという使命感からのもの。
その使命感がまた、彼の国防長官としての振る舞いや、
ペンタゴンでの礼拝主催の原動力なのです。
猫:この、社会を支配して変えるという考え方、それが支配主義と再建主義なんだね。
哲:はい。ヘグセス長官らの千年王国は、
プロテスタント主流派のような、待っていればキリストが再臨する、というのではなくて、
社会のあらゆる分野を支配し、世界をキリストの教えに従って良くしていった後に、
イエスが再臨するのです。
猫:だから、政治的に活発なんだ。アメリカ軍をキリスト教に奪還する。。
哲:その一環として軍の改革を進めようということなんです。
彼がペンタゴンでやっている礼拝や、軍からのリベラル色の排除は、
ドミニオニズム(支配主義)に基づいて軍を自分のキリスト教の側に取り戻そうということ。
猫:ドミニオニズムやキリスト教ナショナリズムを象徴するタトゥーを体に刻んで。
哲:軍にはDEI(多様性・公平性・包括性)プログラムというのがあったのですが、
これは長官に就任して即時の廃止でした。
そのような、軍内で行われていた人種やジェンダーに関する多様性教育は
軍の団結を乱す左翼的な洗脳であるとして停止、解体したのです。
そして軍幹部の選別と更迭です。自身と肌の合わないリベラル寄りの将軍らを更迭し、
より保守的、宗教的な価値観を共有する人物を登用する人事の刷新を進めています。
黒人軍人らの記録を抹殺しようともしています。
コリン・パウエルのものは、反対を招いて、元に戻したようですが。
そういうヘグセス長官の軍改革は、今、激しい反発を招いています。
猫:2026年4月の感謝祭の聖金曜日には国防総省でプロテスタントだけで礼拝が行われ、
カトリックのミサは行われず。
そういうのにも反発だね。
戦時下の過激な祈りには国際的にも反発。
人が死ぬことを願うような祈りには、人道上、反発があって当然だと思うよ。
イランとの交戦が続く中、ヘグセス長官は礼拝で
「すべての弾丸が標的に命中しますように」
「慈悲を必要としない者たちへの圧倒的な暴力を」と祈ったんだ。

哲:軍のトップが福音派のレトリックと作戦用語を混同し、
民間人保護を軽視するかのような「十字軍」的思考を持っていることは、
国際法違反や戦争犯罪につながる危険があるとして、退役将校らも警告しています。
ヘグセス氏が自分のスマートフォンから作戦に関する機密情報を外部に漏らしたとか、
カリブ海の「南の槍作戦」で過剰な殺傷命令があったとして
議会超党派で調査の動きもあります。
米軍の「麻薬密輸船」攻撃、ヘグセスは全員殺せと命じたのか、共和党も監視強化を要求
ニューズウイーク 2025年12月02日 https://www.newsweekjapan.jp/articles/-/57679?page=1
ヘグセス米国防長官の「攻撃直前の防衛株購入」疑惑、民主党が追加調査
フォーブズ 2026.04.03 https://forbesjapan.com/articles/detail/95031
「独断的で宗教色が強すぎる」として弾劾を正式に求める動きも始まりました。
アンサリ議員(民主)が弾劾決議案を提出:
議会の承認を得ずに、国際法に違反する形でイランを攻撃
メッセージアプリ「シグナル」で軍事作戦に関する機密情報を漏洩(「シグナルゲート」)
軍の人事に政治的な目的で介入し軍の私物化を図る権力の濫用
麻薬運搬船への攻撃やイランの女子校への攻撃(175人を超える犠牲者)の戦争犯罪
などでヘグセス長官の弾劾を求めていますが、議会は共和党が多数派で
現段階で弾劾が進む見通しはなし。
House Democrats file articles of impeachment against Hegseth
CBS April 15, 2026 https://www.cbsnews.com/news/pete-hegseth-impeachment-articles-house-democrats/
Democrats file articles of impeachment against Hegseth for ‘high crimes and misdemeanors’
The Guardian 16 Apr 2026 https://www.theguardian.com/us-news/2026/apr/15/democrats-pete-hegseth-impeachment
猫:今年年2月、ヘグセスはウィルソン牧師をペンタゴンの礼拝に招いたんだね。
ヘグセスは、ウィルソンが設立した極右の改革派福音教会連合(CREC)のメンバー。
説教でウィルソン牧師が言うことには:
「イエス・キリストの名を背負う者には、いかなる兵器も通じない」
What is CREC and how does it shape Pete Hegseth’s religious rhetoric? Published: April 6, 2026 The Conversation https://theconversation.com/what-is-crec-and-how-does-it-shape-pete-hegseths-religious-rhetoric-279637
記者会見ではイスラム教のイランを「狂信者」と蔑むヘグセスだけど
自分らだって結構、、
哲:ウィルソン牧師はヘグセス長官を
「古典的教育の支持者であり、軍における女性の戦闘職に反対する素晴らしい人物」
と絶賛しています。
ウィルソン牧師の最終目的は、アメリカをキリスト教神権国家に改造することですからね。
聖書法による統治。極端な家父長制の導入。女性には参政権すら認めない。
公職にはキリスト教徒しか就くことができない。
ヘグセス長官も、軍をキリスト教ナショナリズムに染め上げていくでしょう。
ヘグセス国防長官の誕生は、キリスト教ナショナリズム、支配主義、再建主義の彼らにとって
歴史的な勝利、大躍進ですよ。
He Believes America Should Be a Theocracy. He Says His Influence Is Growing.
Doug Wilson’s political project to “stop making God angry.”
The New York Times Oct. 9, 2025
https://www.nytimes.com/2025/10/09/opinion/doug-wilson-america-religion-theocracy.html
ダグ・ウィルソン牧師の「奴隷制肯定」議論
Southern Slavery As It Was A Monograph by Steve Wilkins & Douglas Wilson
1996 https://vialogue.wordpress.com/wp-content/uploads/2021/02/060175768qrasouthern_slavery_as_it_was.pdf
南部の奴隷制は「人種間の相互の愛情と信頼に基づいた関係」であり、
歴史上これほど「多民族社会が親密かつ調和して共存した例はない」
奴隷制そのものは聖書によって否定されておらず、
主人が聖書の教えに従って奴隷を「慈悲深く」扱うのであれば、
奴隷所有は「確固たる聖書的根拠」のある行為である。
奴隷の生活は「食べ物や衣服、医療に恵まれた、単純な楽しみのある生活だった」。
北部の廃止論者の主張は「神の言葉を憎む者たちの誇張」。
こういった思想の持ち主が、ペンタゴンで礼拝を執り行っているんです。
猫:黒人兵士はたまらんだろうね。
ヘグセスが軍のDEI(多様性、公平性、包摂)プログラムを廃止したのは、
2025年1月の就任早々だよね。
哲:そう。軍の目的は戦争に勝つことであり、社会実験の場ではないなどと言って
リベラル的なものをどんどん排除し始めた。
DEI関連の部署や役職や取り組みをすべてなくしていく作業を開始。
国防総省の公式サイトやSNSから、DEIを促進する記事、写真、動画をすべて削除。
能力主義に戻ると言って、昇進や軍士官学校への入学で、人種や性に配慮することを禁止、
能力のみで判断する方針に転換。
戦闘職種でも女性のための特別基準を廃止して、男と同じ肉体的基準に統一。
猫:じゃあイラン戦争でも女性兵士は戦闘任務についていない?
哲:女性兵士と戦闘任務(歩兵、装甲部隊、特殊部隊など)との問題は
まだ基準の見直しという段階ですね。
でも徐々に制限しようとしています。まずは基準の厳格化、共通化。男女で統一です。
そして今年に入って、女性兵士がいることで部隊の殺傷能力や有効性にどんな影響があるか、
調査を始めてます。
オバマ政権の時にすべての職種が女性に開放されたのですが、
この調査は、将来的に一部の職種で女性の配置を再び制限・禁止するための布石ですよ。
ヘグセス長官は女性や黒人の士官10数名の将官への昇進に
待ったをかけているとも報じられています。
猫:要するに女性や有色人種やバイデン政権のDEI(多様性)重視で選ばれた人物を排除し、
白人に置き換えよう、自分の思想に近い人間に置き換えよう、というんだね。。
哲:紛争解決への女性参画を促す「女性・平和・安全保障(WPS)」事業も廃止しました。
ヘグセス長官は、こういうのを「戦闘という中核任務の妨げになる左翼的活動」
と批判しています。
要するにあの手この手で、女性が前線から遠ざけられる状況が進行しています。
猫:それと、過去の黒人軍人の功績の記録も削除したんだよね。
哲:そうです。国防総省(ペンタゴン)やアーリントン国立墓地の公式サイトから、
黒人や女性、少数民族系の軍人の功績を記述したものが削除されました。
コリン・パウエル元統合参謀本部議長についても削除されたり修正されたりしましたが、
批判が激しくて、一部は元に戻されています。
猫:パウエルはジャマイカ系の移民出身、赫赫たる軍歴、人望厚く、
初の黒人大統領になるんじゃないかとまで言われた人だからね。
イラク戦争でブッシュやチェイニーやラムズフェルドといった連中の道連れになったけど。
哲:そういう少数民族系の出自や人種への言及をどんどん消しているんですよね。
猫:現代の魔女狩りか。
哲: とにかく、軍内の「DEI」に関連するデジタルコンテンツを排除しているんです。
アーリントン国立墓地のサイトからは、「黒人の歴史」「ヒスパニックの歴史」「女性の歴史」
といったカテゴリーが削除されました。
記事がそっくり削除されたというわけではなくて、
人種や性別に触れずに「著名な軍人」といったカテゴリーに統合されているんです。
黒人初のメジャーリーガー・ジャッキー・ロビンソンも従軍しましたが、その記述も削除され、
反発を受けて復元。
ナバホ・コードトーカーズという第二次世界大戦で活躍した先住民の通信兵たちのことも削除。
タスキギー・エアメンという黒人飛行部隊も一時削除。
原爆投下の爆撃機エノラ・ゲイも、Gayという単語が引っ掛かって誤って削除したらしいです。
猫:日系人部隊なんか、最初から記載がなかった?
哲:いいえ。第二次世界大戦の第442連隊など日系人部隊の記録は
前から米軍の公式サイトに詳しく書かれていましたよ。
しかしこれもヘグセス長官の方針(DEI排除)によって削除されました。
「アジア・太平洋諸島系アメリカ人の伝統」というページが丸ごと削除されたんです。
その中に第442連隊や第100歩兵大隊といった日系人部隊の歴史もありました。
日系人団体や遺族から激しい抗議があって、今は一部復元されています。
日系アメリカ人市民連盟(JACL)が、
「家族が収容所に送られながらも国のために戦い、
米軍史上最も多くの勲章を受けた部隊の歴史を抹消することは、
彼らの忠誠と犠牲に対する冒涜である」と強く非難しました。
JACL condemns Trump erasure of 442nd and 100th Infantry Battalionhttps://asamnews.com/2025/03/14/diversity-equity-and-inclusion-erasure-japanese-american-history-removed/
国防総省は「誤って削除された」と言って、
パウエル氏や日系人部隊、ナバホ先住民通信兵などの一部のページは復元しましたが、
以前のように「多様性の象徴」として称える形ではなく、
あくまで「個々の軍事的な功績」という形に再編しているんです。
猫:ま、いかにも白人男性で軍を十字軍化したいヘグセスですよね。
情報機関のトップとか軍幹部の大量更迭もやらかしてますね。
これもあからさまに白人優先、キリスト教ナショナリズムによるアメリカ軍の十字軍化でしょ?
哲:国防情報局(DIA)トップの解任のほか、陸軍参謀総長、海軍作戦部長、空軍副参謀総長など10数人の軍幹部を相次いで事実上の解任です。
これは、バイデン前政権の意向で就任した将軍たちの排除でもあるし、
軍の「多様性・平等・包摂(DEI)」施策に賛同した将軍たちを標的にしたもののようです。
DIAトップの解任は、イラン核施設など対イラン戦略に関して
トランプ大統領と考えが一致しなかったことが原因とみられます。
ヘグセス氏の改革に抵抗している人たちの排除というのもあるでしょう。
短期間の相次ぐ解任、その数十数人。前代未聞の荒治療です。
ヘグセス米国防長官、陸軍参謀総長に退任命じる
BBCニュース2026/04/03 https://www.bbc.com/japanese/articles/c62l8g8ygl1o
米国防総省、陸軍制服組トップを「解任」 理由は説明せず
2026/04/03 毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20260403/k00/00m/030/027000c
米国防総省、ヘグセス長官のずさんな情報管理や側近解任で大混乱
2025年4月22日 ロイターhttps://jp.reuters.com/world/security/KKVMJOREQNOBTBAQIDKH6KF6HY-2025-04-22/
米国防長官、海軍大将を事実上更迭か
2025/12/04 ウォール・ストリート・ジャーナル https://jp.wsj.com/articles/hegseth-asked-top-admiral-to-resign-after-months-of-discord-1edf00d6
猫:代わりに自分の補佐官だった人間を陸軍トップ代行に据えるなんて、
政権に忠実なYESマンで固めようとしているみたいだね。
哲:制服組、将軍たちは、政治から独立した中立的な立場であって、
任期中に政治的な理由で大量解任されるなんてことは普通ありません。
ヘグセス長官のやり方は非常識というか、いかにも乱暴です。
普通は、政権が変わっても制服組トップ(参謀総長ら)はそのまま職務を継続し、
プロとして助言を行うものです。
しかし、ヘグセス長官は「バイデン政権に協力的だった」「DEI(多様性)を推進した」
などといった政治的な色分けをして首を切っており、これでは軍の政治利用です。
軍での実績よりもトランプ氏への忠誠心や思想的に一致するかどうかを基準にして選別、、
軍内部では「実力主義が崩壊した」と冷ややかな目で見られているはずです。
通常、将官の交代には数ヶ月の準備期間を置き、後任を公聴会で承認してから引き継ぐのです。
しかし、今回は「今日中に辞表を出せ」というような強引な通告が相次いでおり、
国防総省(ペンタゴン)の指揮系統が混乱に陥っているんだそうです。
イランとの戦闘が継続する中でランディー・ジョージ陸軍参謀総長らが解任されました。
作戦を統括し補給や訓練を担うトップが突然、いなくなったのです。
猫:数十年の経験を持つ熟練の将官が追放され、
代わってヘグセス氏に近い人物が就任、、
「実力よりも政治的忠誠心が重視される」
そりゃ将兵のみなさん、士気は下がるでしょうよ。
哲:通常は数年かけて段階的に行われるトップ人事ですが、
ヘグセス国防長官は就任からわずか数ヶ月で、
統合参謀本部のメンバーを含む十数人の大将級(4つ星将官)をごっそり標的に。
これはもう前代未聞の総入れ替えですよ。
就任直後、将軍たちの過去の言動をチェックする委員会を設置したらしいです。
多様性を推進したかどうか、あるいはトランプ氏に批判的だったかどうかを基準に
「解任リスト」を作ったとも言われます。
猫:まさに魔女狩り。
哲:その一方で、異例の飛び級人事をやってます。
後釜に、自分に近い考えを持つの若い将校を抜擢しようとしているらしく、
これが軍内の階級秩序を根底から揺るがしているといいます。
猫:まさにペンタゴン始まって以来の大掃除。
キリスト教ナショナリストの下剋上
と言っていいかも。
哲:見た目への締め付けも強まっています。 外見へのこだわりです。
猫:ヘグセスは自分の記者会見の写真写りが悪いと言ってカメラマンを代えさせたそうだよ。
哲:そういうんじゃなくて、「太った将軍や兵士は見たくない」と言ってるんです。
体力テストを厳しくしたり、ひげや長髪を禁止にしました。
猫:ヒゲは宗教上の理由としてこれまでイスラム教には認められていたと思うけどね。
米軍で女性や黒人昇進阻止 ヘグセス国防長官、十数人と報道
2026年4月3日 共同通信 https://www.tokyo-np.co.jp/article/479609
米国防長官、「太った兵士」はいらない 軍の多様性後退
2025/10/01 CNN https://www.cnn.co.jp/usa/35238638.html
「太った将官は見たくない」 米国防長官が異例の訓示 軍を覆う「トランプ色」
朝日新聞 2025/10/14 https://www.asahi.com/awd/weekly-picks/32136
The Medal of Honor Recipient Erased in the Pentagon’s DEI2025/03/07 Military.com https://www.military.com/history/medal-of-honor-recipient-erased-pentagons-dei-purge.html
Hegseth’s Christian rhetoric raises alarm among military
MS NOW 2026/03/31 https://www.youtube.com/watch?v=4OMApUc1mnk
Hegseth rails against ‘Godless left’ in political speech to Christian
CNN 2026/02/19 https://edition.cnn.com/2026/02/19/politics/pete-hegseth-political-speech-christian-convention-nashville
Defense Secretary Hegseth vows to end ‘toxic ideological
WTKR News 3 2025/10/01 https://www.youtube.com/watch?v=C8QycwseRUk
米国防長官 将官を緊急招集「将軍の肥満容認できない」組織改革訴え「肥満」も問題視
ANN 2025/10/01 https://www.youtube.com/watch?v=EzNwJmSfCa8
ウィルソン牧師は、教育と家庭を通じて数世代かけて社会を「キリスト教化」し、
最終的にはキリスト教以外の宗教(イスラム教やヒンドゥー教など)を「寄生的なもの」として
同化、あるいは排除する社会を構想しています。
彼の奴隷制議論の背景にある考え方も、「優れたキリスト教的リーダー(家父長)が、
他者を『愛をもって』支配・指導することが世界の正しい秩序である」というものです。
支配は正当化されるんです。キリスト教が支配する分には。
ヘグセス氏による軍の中のリベラル、左派(woke)の排除は、
そういう「正しい秩序」を取り戻すための聖戦なんですよ。
猫:「woke」(うぉうく)というと原義は「目覚めた」だけど、
もともとの「進歩的」という意味合いから、今では
否定的、皮肉っぽい意味合いで使われるんだね。
哲:そうです。もともとは「人種差別や社会的な不平等などの現実に目覚めている」
という、肯定的な意味でした。
2010年代のBlack Lives Matter(黒人の命も大切)運動などを通じて
「社会正義に敏感である」という意味で使われるようになりました。
猫:ところが今では、特にヘグセスのような右派がこの言葉を使うとーー
というかヘグセスは極右、宗教極右と言ってもいいですがーー
否定的な、バカにした言い方だね。
哲:そうです。多様性や公平性、政治的正当性を重視し過ぎだ、
否定的な意味で、リベラルだ、左翼だ、ゴミだということです。
多様性(DEI)、女性の登用、トランスジェンダー兵士の受け入れ、
さらには気候変動対策なんかも、みんなリベラルのゴミだというわけです。
猫:だから大掃除をして、軍を本来のキリスト教的戦士の、男中心の、白人中心の
強い愛国的な組織に戻さなくてはいけない、と。
哲:そして結局は、社会のあらゆる領域をキリスト教で支配してというドミニオン主義。
聖書の教えに従って再建、再構築しようという再建主義。
ヘグセス氏が軍から女性を排除しようとするのは、
軍は「国家を守る究極の男性的ドメイン」であり、
そこに女性がいては、
女は家庭で男が守るものという男女の秩序の破壊であり、
社会全体が混乱する、と考えるからです。
この思想は、彼が主催するペンタゴンの礼拝でも繰り返し説かれています。
猫:ところがヘグセス自身の私生活はというと、全然、女を守ってないね。
哲:そうですね。ウィルソン牧師やヘグセス国防長官が掲げるのは、聖書的な家庭、
厳格なキリスト教的家父長制という理想なのに、2度の離婚と3度の結婚。
自分自身のこれまでの不倫騒動や離婚といった私生活はそれと著しく矛盾してます。
フォックスニュースのプロデューサー(現在の妻)と不倫し、子供ができて、2番目の妻と離婚。CRECは、不倫や、非聖書的な理由による離婚を厳しく戒めているのですが。
猫:2017年には性的暴行事件を起こして女性に口止め料(示談金)を支払っていました。
トランプと似てるかな。
哲:ヘグセスらは、これまで軍の全部隊に配置されていたDEI担当官や専門のアドバイザーを、
予算カットと組織改編によって事実上全員解雇しました。DEIの研修も廃止です。
前の政権が進めていた環境対策、「軍の電動化(EV導入)」や「排出ガス削減目標」も、
戦闘準備の妨げになる「リベラルの暇つぶし」として即座に停止しました。
ヘグセス氏は「神の敵を殲滅する」といった言い方をすることがありますが、それでは
国際的な人道法や交戦法規をリベラルな世俗的な制約として軽視することがりかねません。
猫:実際、ヘグセスは州兵として海外に派遣されていたとき、そういう言動があるんだよね。
交戦規則は無視しろみたいなことを部下に言っていた。
哲:テネシー州の改革派教会の教えは、いつしかヘグセスに乗り移って、
世界最強の軍隊を「キリスト教ナショナリズムの砦」に作り変えようとしているようです。
その結果、アメリカの国際的な信用や、国内の憲法による秩序が
どこまで持ち堪えられるのか。そこが今後の見どころですよ。
猫:これらの動きとドナルド・トランプはどう関係するのか?
そもそもなぜヘグセスのような人物を国防長官に据えたのか?
トランプのキリスト教信仰との関係などあるのだろうか?
哲:トランプ大統領は、世俗的で功利主義的な人間です。
ヘグセスを起用したのは、政治的な計算ですよ。
自分の政治基盤である福音派(特に白人福音派)の支持を維持しようという。
そのために、彼らの喜ぶ「戦士」を重要ポストに据えたということでしょう。
ヘグセス氏はフォックスニュースでトランプ氏を熱烈に擁護し続けてきた。
トランプ氏にとっては彼の独特の信仰よりも、
自分に対する絶対的な忠誠心が起用の決め手だったはずです。
トランプ大統領にしてもリベラルは大嫌いなわけで、
ヘグセス長官は彼にしてみればキリスト教の戦士というより
自分の政治的な聖戦MAGAを戦ってくれる戦士ですよ。
今年11月には議会選挙(中間選挙)がありますが、
トランプ・ヘグセス体制は米国を真っ二つに割る最大の争点となりますね。
民主党はヘグセス氏のイラン戦争における強硬姿勢や「戦争犯罪」の疑いを批判し、
弾劾の動きを見せることで、共和党を過激なトランプ・ヘグセス体制の共犯者として
追い込もうとしています。
共和党内にも亀裂が生まれています。トランプ氏の支持率は低迷しており(約40%)、
ヘグセス氏による軍幹部の大量解任や過激な宗教的レトリックに対し、
穏健派の共和党議員からも不信感や離反の動きが出始めているんです。
ウィルソン牧師らドミニオン主義者は、トランプ氏を
「不完全だが神に選ばれた王」として支持し続けており、
こういった考え方が共和党の主流派へと浸透しつつあることが、
アメリカ民主主義の根幹を揺るがす事態として議論されています。
猫:なんか、世俗的シオニストのネタニヤフが
自分の連立政権内の宗教的シオニストに引っ張られて
どんどん右傾化していってるのと似てるような動きだね。
トランプ本人もその気になったのか、支持者に受けると思ったのか、
キリストみたいないで立ちの画像を投稿したり。。
批判が激しくて削除しましたが、それで、認知症が進んでるとか、精神が破綻しているとか、
いろいろ憶測を読んでいる。果たして中間選挙まで持つのかどうかも怪しくなってきたのでは?

キリスト教内部からもトランプには反発が強い。
この画像にしても「冒涜だ」という声が起きている。
そしてなにしろローマ教皇とぶつかっているからね、トランプは。
ヘグセスの十字軍の戦士気取りの、宗教と国防の混同にも、眉を顰める向きは少なくない。
哲:ホワイトハウスでは復活祭の聖金曜日にカトリックを排除して、
プロテスタントだけで礼拝をしました。
これにはキリスト教内部からも反発が起きています。
トランプはローマ教皇からイラン戦争を批判されて、逆上。
カトリックの慈善事業への資金的支援を打ち切っています。
Hegseth under fire after Pentagon excludes Catholic Mass
https://www.msn.com/en-gb/news/other/hegseth-faces-backlash-after-pentagon-drops-catholic-good-friday-mass/gm-GMA95EC2B8

猫:ここに来て、民主党だけでなく、一部共和党議員やMAGA支持者にも
大統領を辞めさせる25条の発動を求める動きが広がっているけど。
「(イランという)一つの文明を破壊する」なんていうトランプの発言で。
哲:でも、憲法修正第25条の発動による大統領の職務停止は
現時点では成立の見通しはありません。
だって、バンス副大統領と閣僚の過半数が「大統領は職務不能」と署名しなければなりません。
現時点では、、よほどのひどい状況にならない限り、その見込みはない。
トランプ氏「文明破壊」発言で波紋、修正第25条発動で解任できるのか
ブルームバーグ 2026年4月10日 https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2026-04-09/TD8ASIKIJHAU00#gsc.tab=0
『トランプの職務止めろと米議員憲法修正25条で』
のら猫寛兵衛 2026.1.21. https://noraneko-kambei.com/2026/01/21/13775/
猫:現時点での見込みと言われれば、弾劾にしてもそうだけど、
事態は流動的だと思うよ。
上院での弾劾有罪判決には3分の2の賛成が必要で、
いま議席数は共和党53、民主党47(民主党系無所属2名を含む)なので、
共和党からの造反が20人で成立する。
依然として高いハードルと言われているが、
ヘグセスやトランプの大本営発表はともかく、
このままイラン戦争の泥沼化が進めば、
そしてただでさえ不安定の度を増す一方のトランプの精神状態がさらに悪化して
国民や同盟国はおろか、身内の共和党やらMAGA派やら
さらにはローマ教皇やら各方面を敵にまわしていけば、
中間選挙なんて先の話じゃなくて案外早く弾劾に至るのでは。
最後までトランプ支持はニッポンの
ぴょんぴょん早苗くらいなものか
抱きつき高市くらいなものか
哲:未来を予測して賭けの対象にするアメリカの予測市場「カルシ」ですが、
再来年までに「トランプ大統領が弾劾される確率」を、4月22日現在68%としています。
弾劾の確率が50%から60%台に跳ね上がったのは、
1月のベネズエラ攻撃とマドゥロ大統領拘束の直後でした。
そしてトランプの発言ーー「(イランを)そのいるべき石器時代に戻してやる」
「今夜、ひとつの文明が丸ごと滅びる」
こういった発言を経て弾劾確率は70%に迫る勢い。
イラン情勢が泥沼化する中
「議会の承認なき軍事攻撃」だとして、
すでに民主党議員が弾劾決議案を議会に提出しています。
トランプ氏「弾劾予測」に現実味?予測は68% イラン攻撃泥沼化 民主党議員が決議案
2026年4月23日 https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/900189021.html
猫:とにかく、身内を含め、各方面にどんどん敵を作ってゆく。
ヘグセスの「狂信的」戦争長官ぶりがまた、
ペンタゴン内部や国際社会で、あまりに危険で予測不能だとして不安がられ、
ヘグセスも弾劾調査の対象になり始めたからね。
哲:ヘグセス国防長官のキリスト教ナショナリズム・支配主義・再建主義による
アメリカ軍の大変革には、そして「精神不安定」のトランプ大統領には、
2026年11月の中間選挙で審判を下されるのかどうか、
今後の世界を占う上でも大いに注目ですね。
猫:いや、そこに至る前に、トランプの精神状態がいよいよ破綻するか
ヘグセスやトランプが議会で弾劾されるか、今その
断崖に立たされているんだよ。
哲:出た!ざぶとん5枚!
猫:ははは。僕たち断崖の世代。。
お後がよろしいようで。
(つづく)
最後までお読みくださりありがとうございました! m(_ _)m

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