政府統計で日本の仏教徒の数を足すと2億人を超えてしまうそうである。
日本の人口は1億2,692万人なのに(総務省発表2016.12.20)。
私が不思議に思うのは、その日本で、至るところクリスマスツリーがあふれ
人々がメリー・クリスマス!(主イエス・キリスト降誕の楽しき祝日を!)
と言い交わすことである(日本でキリスト教徒は1%。100人に1人)。
テレビからも出演者が視聴者に呼びかけている「メリー・クリスマス!」(*1)。
一方、アメリカではクリスマス・ツリーも公共の場(学校とか役所とか)には置かれなくなり、「メリー・クリスマス」も言われなくなった。
キリスト教以外の宗教の人がそこまで増えたのか?!
そんなことはない。アメリカは依然として圧倒的にキリスト教の国である。
ざっと7割がそうだ(50%近くがプロテスタント、約20%がカトリック)。
それに続くユダヤ教、イスラム教は、それぞれ2%足らず、1%足らずである。
さらに「無宗教」の人が20%あまり(*2)。
なら「メリー・クリスマス」で良さそうなものを。。。
「メリー・クリスマス」をやめたのは、公平さの配慮だ。「政治的正当性」(PC:political correctness)。キリスト教が多数派だからといって、それを少数派に押し付けてはならない、という考え方だ(*3)。
では何と言う?
「ハッピー・ホリデーズ!」(幸せな祝日を!)である。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
そこまでアメリカという国は少数派に気を遣っているのだ。
そして日本はつくづく不思議な国、日本人はつくづく不思議な人たちだと思う。
キリスト教徒は1%しかいないのに「メリー・クリスマス」。国民の大多数がキリスト教徒であるアメリカが「メリー・クリスマス」と言わなくなってもまだ言い続けている。
そしてここにもまた私は、例の日本のハシゴはずされ症候群(*4)の症状を見るのである。ご主人様がやめたあともいついつまでもその道を突っ走る。原発しかり、TPPしかり、イラク戦争のあやまちを今なおみとめようとしない姿しかり。一旦思い込むと「この道しかない」。
「ハッピー・ホリデーズ!」はおかしい!
「ハッピー・ホリデーズ!」をアメリカで快く思っていない人たちもいる。次期大統領ドナルド・トランプ氏もその1人。「メリー・クリスマス」が言えないなんておかしい。政治的正当性なんてクソくらえである。デパートで「メリー・クリスマス」の文字を見かけなくなって悲しい。などと嘆くなど、彼の支持層の一角、政治的な影響力の強いいわゆる宗教右派=福音主義派に訴える(*5)。
だったらトランプ氏よ、是非この東亜の不思議の国を訪れ給え。この美しい国ではもろ人こぞりて、主を褒め称えておりまする。酒も首も褒め称えておりますが。いたるところいやというほど「メリー・クリスマス」であふれかえっておりまする。なにしろお寺の幼稚園でもクリスマスを祝っていると言われるくらいの国なのだから。そして家族はなぜか「クリスマス・ケーキ」なるものを食べる。そして若者もそんなに若くない男女もこの国では清きこの夜、セックスにいそしむらしい。聖夜転じて性夜である。
え?いかにもトランプ好み?
アメリカでは考えられないだろうが、テレビの出演者も視聴者に向かって「メリー・クリスマス!」と挨拶している。
しかしアメリカでも、トランプの支持層の間では「メリー・クリスマス!」が盛んに交わされているという調査もある(ツイート数百万通を解析)。大統領選でトランプの支持が多かった地域でもそうだという。「メリー・クリスマス」を復活させたいというトランプ氏の言動は、多分にそのへんへのおもねりでもありそうである。
トランプのメリー・クリスマス
#MerryChristmas pic.twitter.com/5GgDmJrGMS
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2016年12月25日
ユダヤ教徒への季節の挨拶も忘れないトランプ。
娘はユダヤ人不動産王子に嫁ぎ、ユダヤ教に改宗(*6)。
本人も親イスラエル。イスラエルのエルサレムへの遷都、大いに賛成という立場。。
イスラエル大使に指名したのはコチコチのユダヤ教正統派(*7)。
Happy #Hanukkah pic.twitter.com/UvZwtykV1E
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2016年12月24日
ただしイスラム教徒への挨拶はなし。イスラム教徒を登録すると言っているトランプ。戦時中の日系人の収容じゃあるまいし。
*1:25日日曜夕方、いつもは衛星放送で『真田丸』を観る時間帯だったのだが、先週で終わってしまったので、久しぶりにNHK総合を観た。ドイツで起きたテロ事件やヨーロッパで台頭する反移民の動き、シリアの情勢などを伝える番組だった。解説も分かり易く、よくまとまっていた。
途中「メリー・クリスマス」 と出演者が言っていた。番組の最後も「メリー・クリスマス!」と視聴者に笑顔を振りまいて終わった。
出演者はキリスト教徒なのだろうか? 視聴者はキリスト教徒が多いとお思いなのだろうか? なにしろ「メリー・クリスマス!」とは、「主イエス・キリスト降誕の祝日を楽しくお過ごし下さい」という挨拶なのだ。
*2:宗教の自由法の修正にオバマ大統領が署名。
(私のように)無宗教の人にも法的な保護が。(2016.12)
*3:でも、アメリカの大統領は演説の最後にGod bless America!(神がアメリカを祝福せんことを)と言うし、
アメリカの紙幣にはIn God we trust(我ら神を頼む)などと書かれていたりするではないか、
という人もいるかもしれないが、あれは特定の宗教の神を言っているのではないのだそうだ。
*4:
原発やイラク戦争やTPPに関してこのブログではこれまでこの言葉を使ってきた。ハシゴ外され猪突猛進この道しかないババ掴み症候群。★ババ掴みこの道を行くしかないとハシゴ外され猪突猛進★
*5:米NBC News より:’Merry Christmas’ Versus ‘Happy Holidays’: Why Trump May Prefer the Former by SAM PETULLA
「メリー・クリスマス」ツイートされる地域:
信心深い人たちの住むいわゆるバイブル・ベルト。
および工業のすたれたいわゆるラスト・ベルト(錆びた帯)の南部。
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大統領選予備選でトランプが支持を集めた地域:
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「非常に宗教的な」生活を営む人々の住む地域:
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ヒラリー・クリントンが勝った郡:
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