闇市の取引
戦時中、石井さんは中国戦線。
体に爆弾を括り付け、戦車に突撃するといういわば地上の特攻だったが、
確か私の聞いた記憶では、３回試みいずれも失敗。
「何回も死にそこのーとりますけんね。戦後は、
拳銃ば振り回して、悪かこつばっかりしよったっですたい」
西さんは終戦直後、福岡で闇市のブローカーをしていた
この日は博多駅の近くで軍服の取引を別のブローカーとすることになっていた
一方で、彼が拳銃を譲り受けようとこの日会ったのが石井さんだった
ふたりは初対面
石井さんは会って２時間ほどして堅粕で発砲、２人を殺してしまった
西さんは現場にすらいなかった
強盗の謀議などあろうはずもない
ましてや人を殺すつもりなどなかった
というのがふたりの主張だった
石井健次郎（事件当時30歳）
「拳銃ば振り回してですね
悪かこつばっかりしよったっですたい」
西武雄（闇市の親分肌32歳）
劇団「芸能社」を率い九州各地を巡業
と同時に闇市の取引に手を染めていた
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