ブラボーというアメリカのべらぼー 終わらぬ核被害マーシャル諸島


「ガンが多発した。甲状腺に腫瘍ができる人が多い」

「核実験の前にはなかったような事が起き始めた。
植物にも動物にも人間にも。

 生まれてきた猫の赤ん坊は体がくっついた双生児だった。
手足が8本だった」


太平洋のマーシャル諸島共和国と去年からどうも縁がある。

去年のICJ提訴後、東京信濃町の大使館で大使にお話を聞いたあと

ウィーンでデブルム外相の演説を通訳することになるとは思わなかったが

先日ふたたび東京で今回はビキニ水爆実験(「ブラボー実験」)61年目(3月1日)を前に

二人の島民の話を通訳した。明治学院大学の国際平和研究所でのシンポジウムだ。

アメリカが核被害を公式に認めていないアイルック島からの声が

日本に初めて直に届けられた

「ガンが多発。甲状腺に腫瘍ができる人が多い」

「子供ふたりを失った。ひとりは先天異常があった。人の子には見えなかった。ハマグリの中身のようだった」

「子供4人が未熟児で生まれた。ひとりは最初の誕生日を迎える前に死んだ。もうひとりは死産だった」

「核実験の前にはなかったようなことが起き始めた。植物にも動物にも人間にも。

 生まれてきた猫の赤ん坊は体がくっついた双生児だった。手足が8本だった」

「ブタの脚がねじれていた。食べるものがなく、そのブタも殺して食べた」

ロザーニア・ベネットさん(40代の元国会職員)は

島民たちの証言をビデオを交えてこう報告した(一部)。

アメリカの核実験場だったが、マーシャル諸島共和国の放射能の被害をアメリカが公式に認めているのは

29の環礁のうち4つだけ。

エニウェトク環礁、ビキニ環礁、ロンゲラップ環礁、ウトリック環礁。

実験は1954年のビキニ環礁で行われた水爆の「ブラボー実験」だけでなく

1946年から1958年までの間に合計67回行われている。

事前通知なし アイルック島には避難 事前も事後もなし

今回来日した2人の住むアイルック島の住民に実験が行われるという通知は事前になく

避難も行われず、その後も長年、放置されたままであった。

来日したテンポー・アルフレッドさんは元小学校の校長先生(74歳)。

かつてこう語っていた(ロザーニアさんの報告から):

「なぜ事前に知らせて私たちを守ってくれなかったのか。これでは実験台のモルモットだ。

 船でやって来て私たちの血液を採取して行った。

 あとで結果を知らせると言っていたのに、その後、一切何も知らされない…」

 「実験なら自分の国でやってくれ。アメリカには砂漠もある。未利用の公有地がたくさんある。

 なのに小さな島にやってきて人を殺す」

 「何を言っても聞いてくれなかった。すべて無視された。そして何の心配もいらないと言われた」

アイルック島の人々の被曝を認識していながら放置したアメリカ

いまだに被曝の事実を公式に認めようとしない

人をバカにしたような作戦名をつけるアメリカだが

この水爆実験が「ブラボー」とはほんとにベラボーな話だ。

ウィーンの「核兵器の人道上の影響に関する国際会議」でデ・ブルーム外相も触れたが、この時の水爆の威力は

広島型原爆の1,000倍。

67回の核実験。その威力は、広島に落とされた原爆の1個半を毎日落とし続けて12年分に匹敵すると

ロザーニアさんも同じことを言っていた。

テンポーさんは、空が一瞬明るくなり、赤く染まるのを見て、大きな音を聞いて、

また戦争が始まったのか、この世の終わりか、と思ったと言う。

船で海に出ていたが「主よ、行く道を示し給え」と歌いながら

アイルック島に帰ったと言う。

被曝を認識していながら放置したアメリカ

アメリカの公文書から、アメリが被曝を認識しつつ放置したらしいこと、

住民の避難を検討しながら費用や手間を考えて見送ったらしいこと、などがうかがえる。

そう論じているのが今月末発売の「マーシャル諸島 終わりなき核被害を生きる」(新泉社)

著者の竹峰誠一郎先生(明星大)(グローバルヒバクシャ研究会共同代表)が

今回のシンポジウムでもマーシャル諸島の二人が登壇した第2部の進行役だった。

ビキニ事件:61年 核被害の体験、共有目指す マーシャル諸島の被ばく者ら来日 都内、埼玉でシンポジウム

アメリカが被曝の影響を認めないのは第5福竜丸と同じ

責任を認めずちゃんとした補償もせぬまま

(アメリカは1955年に200万ドル(当時の為替レートで7億円あまり)の「見舞金」を払い

 「完全決着」)

そして第5福竜丸のほか日本の漁船数百隻(乗組員およそ1万人)に影響があったことが新たに分かってきた。

被曝を知りつつ放置した日本政府

検査記録はないと否定したが(1986年今井厚生大臣)、去年見つかる(米政府に提出していた)

NHKスペシャル 水爆実験60年目の真実

ビキニ水爆実験:船員被ばく追跡調査 福竜丸以外で初 厚労省

高知の高校の先生山下正寿氏らが追跡調査。

広島大名誉教授の星正治氏らが元船員の歯を分析して被曝を証明。

ビキニ水爆実験:元漁船員原告で国賠訴訟へ 市民団体方針


関連記事:
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「空から白い粉が降って来るのを見て子供たちは雪だとはしゃぎました」

⇒ 核兵器の人道上の影響に関するウィーン会議再録

⇒ NPT再検討会議決裂2 アメリカはしゃあしゃあと 日本は粛々と

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コメント

  1. からしだね より:

    志村さんのブログでビキニ被爆のことが取り上げられた日(9日)の夜、ニュースで周辺海域で操業していた元船員の方たちが国家賠償請求訴訟を起こしたことを知りました。そして今日の寛兵衛さんのツィッターです。
    このビキニ被爆における第五福竜丸以外の調査結果が開示されたのがほんの2年前、などと本当にひどすぎる話です。
    アメリカが知らぬ振りするのは他国のことだからかも知れませんが、日本の支配層って自分を何人と思っているのでしょうか。ベトナム戦争当時の南ベトナム政府みたいで、しかもそういう政府を認めているのが他ならぬ日本人なんだと情けない気持ちで一杯です。

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