その総理大臣は講演を始める前に打ち合わせと称して私を控え室に呼んだ。
「きょうの話は適当な話なんで、ま、まさに、適当な中において訳しておいて下さい」
「いや、適当、と言われても、それが一番難しかったりするんですけど・・」
「ま、そこはひとついわば気楽に考えて。断じて私はウソしか言わない人間ですから」
「あ、はあ・・」
と気が楽になったような、ならないような私は、そのまま同時通訳ブースに向かった。
「ウソしか言わない」か。なるほどな。TPP断固反対だったもんな。
自衛隊のリスクが高まるということは全くないです、とかな。
他国の戦争に巻き込まれることは絶対ない、とか。
いや?待てよ。
「ウソしか言わない」だったら、その「ウソしか言わない」という発言もウソであるはずで、そうなると 総理の発言は「ほんと」ということになる。
しかし待てよ、そうなると、えー、どっちだ、こいつはほんとのこと言うのか、ウソばっかりか?
と頭の中がこんがらがっているうちに
リリーーン!
と開演のベルが鳴ってしまったあーー!
と思ったら目覚ましだった。
なんだ夢か。
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