その若き僧侶は終戦直後の混乱した日本で
仏教には特別の役割があるはずだと考えていた。
宗教として、人々の心の支え、導きでなくてはならないはず。
今こそ、仏教の再生運動をと
ガリ版刷りで機関誌を発行する。
やがて印刷を福岡刑務所で行なうようになるが
荒れていた受刑者たちの変化を
刑務官らも気づくようになる。
その印刷の仕事が来ると、刑務所内が静かになるのである。
受刑者らは、規則を破って、その印刷物を隠し読みしていた。
よほどいいことが書いてあるはず。よほどいい話をする僧侶にちがいない。
来てもらって、受刑者に話をしてもらおう。
やがて僧侶は教誨師(きょうかいし)となった。
こうして僧侶は、死刑囚と「魂の対話」を十年続ける。
そして、彼らが、裁判所の言うような罪を犯していないことを確信するに至る。
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今日もお読み下さり有難うございました
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